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2023.05.19 (金) 印刷する

月例研究会 「岸田外交の一年を問う ―G7サミットで日本の存在感を示せ― 」

5月18日(木)、国家基本問題研究所は、定例の月例研究会を東京・内幸町のイイノホールで開催した。今回のテーマ「岸田外交の一年を問う」は、激動する国際情勢の中で岸田政権の外交政策の軌跡を追い、今まさに開催中のG7サミットで、いかなる成果を導くのか、という問題意識のもとに設定。

登壇者は、第1次安倍政権で総理大臣公邸連絡調整官を、菅・岸田両政権で外交担当内閣官房参与を務める宮家邦彦氏、国基研理事兼企画委員で産経新聞特別記者の湯浅博氏、月刊正論発行人の有元隆志氏、司会は櫻井よしこ理事長で進行。来場した参加者を含め忌憚のない意見交換が行われた。その概要は以下のとおり。

【概要】
宮家邦彦氏:
まず岸田政権の外交を論じる前に、第2次安倍内閣時の2013年頃から日本を取り巻く戦略環境が大きく変化したことを指摘したい。経済では中国が急激に台頭し、軍事的にも巨大化した。冷戦時代と異なり、今は大国が戦争を抑止できない状況に。岸田政権は、安倍政権が構想したものを菅政権に続き着実に具体化させている。G7で打ち出すメッセージは、ウクライナを侵略するロシアだけでなく、隣国の独裁者に送ることにもある。

湯浅博氏:
最近米国などの有識者が取り上げるのは日本の地政学的台頭である。ロシアのウクライナ侵略と喫緊の中国脅威が日本を軍事的に覚醒させたというもの。確かにGDP2%は大きなメッセージになった。故安倍首相の国葬で決意を示した岸田首相はG7という大舞台で、自由主義を守るため、まとめ役となれるか世界が注目する。

有元隆志氏:
歴代G7サミットと比較し今回参加する首脳の指導力が相対的に弱い中、G7の結束力がこれほど試されているサミットはない。対露・対中で表面的に結束しても、分断工作に長けた両国の仕掛けには注意が必要である。また日本の戦略3文書の中で核に触れていないことに大いに疑問を抱く。

櫻井よしこ国基研理事長:
宮家氏が「自衛隊に対する最大限の敬意が必要」と語ったように、他国の軍隊と我が国自衛隊には大きな違いがある。これはお金(GDP2%)だけで解消するものではない。憲法上に根拠がないという異常事態を早急に正すとともに、日本人が忌避する核の議論を進めるべき時である。

詳細は後日、「国基研だより」や国基研ホームページで紹介する予定です。ご期待ください。 (文責 国基研)