公益財団法人 国家基本問題研究所
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2024.10.09 (水) 印刷する

中国軍事動向月報 2024年9月

1 全 般
訓練最盛期に入り、統合訓練等訓練の頻度・レベルを上げるとともに、秋季徴兵により入隊した新兵が各軍種の教育部隊に着隊し訓練を開始した。 

台湾侵攻を主担当とする東部戦区では民間船も参加した統合着上陸訓練等を、海軍では空母2コ編隊が太平洋と南シナ海でそれぞれ遠海訓練を、ロケット軍及び陸軍長距離砲部隊は大規模な実射訓練を実施した。また、海警総隊が初めて公海上でヘリによる法執行活動を実施する等、その能力を向上させている。

中でもロケット軍が9月25日に44年ぶりに大陸間弾道ミサイル(ICBM)を太平洋公海へ発射したことは大いに注目された。中国は同発射を成功と公表しており、中国の核戦略が「最小限抑止」から「相互確証破壊」へ移行する大きな一歩となりうる可能性がある。

日本に対しては、空母遼寧が中国空母として初めて日本の接続水域を通過した。習近平総書記兼中央軍委主席が7月30日に指示した「国境・海空域防衛力整備」強化の一環とも考えられる。

台湾に対しては、台湾海峡中間線を越えて航行する軍用機が台湾の南西部及び東部まで飛来する等、圧力を強化した。

南シナ海においてはフィリピン(以下、比)への強硬姿勢を強化し、サビナ礁に長期停泊していた比巡視船の撤退を強要する等実力をもって比のプレゼンスの排除を図った。