1 全 般
3月5~11日、第14期全国人民代表大会第3回会議(以下「全人代」、国会に相当)が開催され、国防予算等について審議された他、習近平中央軍事委員会主席が解放軍・武警部隊代表団全体会議(以下「軍代全会」)が出席し講話を実施した。
部隊においては海軍が豪周回遠海訓練を実施する等、訓練が本格的に開始された。特に本年に入り海警部隊の訓練報道が確認され始めたが、3月は3コ海区全て訓練報道が確認された。報道では海警部隊が新装備・新たな手法への対応訓練や即応態勢を強化している状況が紹介されており、今後、新たな手段により日本・台湾への対応を強硬化させる可能性もある。
台湾に対しては、17日に東部戦区が台湾周辺の海空域で海空兵力をもって戦備警戒パトロールと統合演習を実施した。また、これまで海警の活動はあまり報道されていなかった東沙周辺海域での海警の活動が確認され、金門・馬祖等中国対岸の離島のみならず、東沙海域での海警の活動常態化を目指した活動を開始した可能性もある。
日本に対しては、22~24日、海警船4隻が尖閣接続水域外側1~4カイリの位置で航行した。21~24日に日本漁船4隻が尖閣の日本領海内で操業を行ったため、この操業が長期化または漁船及び海保巡視船の隻数が増加する等した場合に、3月の尖閣巡航担当直属第1支隊を増援して海警船8隻で対応できるよう、予め尖閣接続水域外側に配備をしていた可能性がある。東海海区直属第1・2支隊は東シナ海日中中間線、尖閣諸島、台湾海峡におけるパトロール任務を有しているが、状況に応じて迅速に尖閣周辺に集結できるよう運用されていることを示したと言える。
南シナ海においては、対フィリピン(以下、比)強硬姿勢は継続。特に比が日米等と連携するのを警戒し、ヘグセス米国防長官の比訪問及び日米比3か国共同訓練と同日に、南シナ海定期パトロールを実施した。