1 全 般
4月1~2日、東部戦区が台湾周辺における統合演習を実施した。昨年の統合演習と比較し、着実に海上封鎖訓練の範囲・練度を上昇させており、台湾に対する威嚇を強めている。
日本周辺では、台湾周辺での統合演習及び戦備警戒パトロールに参加した海空軍アセットや日米共同訓練等の情報収集に関連した情報収集・監視アセットの活動が多く確認された。
南シナ海においては、空母山東がフィリピン(以下、比)バブヤン島沖約2カイリの海域を通過、中国海警が比が実効支配するパグアサ島近くのサンディ礁に上陸した。米比主催多国間共同訓練バリカタン2025に反発し、比への威嚇の烈度を上昇させたと言える。
軍事交流においては、ASEAN10か国中4ヶ国のベトナム(以下、越)・マレーシア・カンボジア・インドネシアと外務・国防・治安3+3または外務・国防2+2の実施または実施に合意し、安全保障面での協力強化を図った。中国は4月8~9日、周辺地域に関する活動方針を話し合う中央周辺工作会議を開催、「周辺運命共同体」の構築を強調しており、トランプ米政権の米国第一主義の政策に対し、まずは周辺国であるASEAN各国との関係を強化し、自国陣営への取り込みを図り、かつ米軍との関係を深める比をASEANの中で孤立させる狙いがあると思われる。
また、ASEANの中でもカンボジアにおいては、中国の支援で行われたリアム海軍基地の拡張工事完成式典が5日に行われ、同日、同基地内に中カンボジアリアム港共同保障訓練センターが発足した。工事完了後初めての外国艦艇として海上自衛隊艦艇が、事後、越海軍艦艇が寄港した。しかし、衛星画像等から確認すると日本及び越の艦艇は中国艦艇が接岸している桟橋とは別の埠頭に接岸していることが確認できる。同共同保障訓練センターには中国軍が常駐し、中国軍専用の地域が確保されていると見られ、中国の2番目の海外基地と言える。中国が同基地を利用し、ASEAN各国への影響力拡大やタイ湾~マラッカ海峡におけるプレゼンス強化を企図している可能性がある。