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2025.06.30 (月) 印刷する

「トランプ政権の評価:前例のない即断即決」 フレッド・フライツ・元米国家安全保障会議首席補佐官

6月27日、第一次トランプ政権で国家安全保障会議の首席補佐官兼事務局長を務めたワシントン・グローバル戦略グループ(WGSG)共同代表のフレッド・フライツ氏が来所した。昨年に続き2度目の来訪になるが、今回も他の誘いを後回しにするほど楽しみにしていたと言う。

フライツ氏は、トランプ政権と関係が近く政策にも精通している。イラン核施設攻撃を含めた政策決定の意味などを解説し、その後、幅広く意見交換を実施した。

【概要】
新たなトランプ政権は、就任からわずか5か月の間に、前例のない数の新政策を打ち出した。これらの政策の多くは、自分が所属するアメリカ第一政策研究所(AFPI)をはじめ、2024年の選挙前に幾つかのシンクタンクが作成した政策草案により後押しされた。そして、それらの政策は、トランプ大統領がアメリカという国家を取り戻すために計画したのである。

現在進行している政策のいくつかを以下に紹介して議論の端緒にしたい。

・移民問題
トランプ大統領にとって重要テーマの一つは、南部国境の安全確保である。不法移民の流入という問題の根源は、民主党政権が犯した過ちにある。国境の閉鎖に及び腰だったバイデン政権は、1100万人を超える不法移民の米国入国を許した。その結果、違法薬物の密輸が急増し、アメリカの都市では犯罪が増加した。現在はフェンタニルの密輸が劇的に減り、不法に入国する移民は食い止められている。これはトランプ政権の政策の成果である。

・イラン核施設攻撃
今回のイランに対する攻撃に関してだが、トランプ政権は必要なら軍事力を投入することを躊躇わないと示した。同政権はイランの核開発計画がかなり進展していることが脅威だと判断した。イランによるウラン235の60%濃縮は明らかに平和目的ではない。自分自身はこの攻撃でイランの核開発は大幅に後退したと確信している。トランプ大統領はイランに対し、平和的核開発に関する共同事業体の事前提案を行った。しかし、イランは核兵器製造計画を進めたかったので、これを拒否したのである。

・ウクライナ戦争
ロシアによる2022年2月のウクライナ侵攻は、バイデン大統領の弱さと無能さによって惹起された。だが現在、トランプ大統領がこの戦争を終わらせるためにプーチン大統領と対話できる立場になったことは評価できる。トランプ大統領は、ウクライナ戦争終結後、ロシアの孤立を解消したいと考えており、ロシアをG7に参加させることを提案している。欧州や中国、もちろん日本も含めた関係国との協力が必要だとトランプ大統領は考えているようである。

その他、関税、北朝鮮、NATOの国防費、中国による台湾侵攻など、山積する諸問題に関し、質疑応答を含め幅広く議論が展開された。

【略歴】
ワシントン・グローバル戦略グループ(WGSG)共同代表兼アメリカ第一政策研究所(AFPI)アメリカ安全保障センター副所長。2018年にドナルド・トランプ大統領副補佐官兼国家安全保障会議首席補佐官を務めた。CIA、DIA、国務省、下院情報委員会スタッフとして25年間、米国の国家安全保障に携わる。共編著に“An America First Approach to U.S. National Security(仮訳『米国第一主義によるアメリカの安全保障』)”,America Frist Press, 2024.
 (文責 国基研)