公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2016年10月の記事一覧

 11月3日は明治天皇の誕生日で、戦前は明治節と呼ばれた祝日であった。我が国は戦争に負けて連合国軍(アメリカ軍)に占領され、占領軍は、祝日についても残すものと残さないものとを選別した。  明治節は世論調査で日本人がもっとも残してほしい祝日の一つであった。もう一つ希望が多かったのは紀元節(2月11日、昭和41年から「建国記念の日」)であった。占領軍は、紀元節は残すことを許さず、明治節は、「自由と平...

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 報道によると、先日東京で開かれた日米韓の外務次官協議で日韓両政府は、間の防衛秘密を交換する際の手続きを定めた軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の協議を11月にも再開することで合意した。年内の締結を目指すという。  日韓GSOMIAは2012年6月に締結される予定だったが、歴史問題を背景とする国内世論の反発を受けた韓国政府が署名式の約1時間前にキャンセル。現在まで棚上げされたままになっていた。...

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 10月12日に発生した埼玉県新座市の地中ケーブル火災は、同日午後3時30分過ぎに都内で最大37万件の大規模停電を引き起こした。午後4時25分までに停電は解消したが、都内では、交通信号の消灯による大渋滞も起こった。10月14日付の電気新聞は「国の中枢である霞ヶ関の各省庁に停電が及んだ」と報じている。  経済産業省の肝煎りで2015年4月1日に設立された発送電分離の先兵である東京電力パワーグリッド...

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 北朝鮮は、本年6月22日に中距離弾道ミサイル、ムスダンの発射に初めて成功、しかも上部に打ち上げるロフテッド軌道という難しい発射であった。その約2カ月後の8月24日には潜水艦からの弾道ミサイル発射を成功させている。ところが、10月に入ってからは15日と20日に連続してムスダンを発射し、いずれも失敗している。これらの一連の発射結果は一体何を意味するのであろうか?  筆者は一切秘密情報に接していない...

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 北朝鮮のムスダン発射失敗と合わせ、産経新聞は17日付朝刊で、弾道ミサイル防衛に追加補正予算計上のニュースとともに、河野克俊統合幕僚長のインタビュー記事を掲載。この中で河野統幕長は米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)など新たな装備の導入に関して、「まだ私から何とも申し上げられないのですけど、今後検討していく必要はあると思います」と述べていた。  確かに短射程の地上発射型PAC-3は「あいくち」...

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 「国籍」とは一体何だろうか?こんな質問をすると「何を今さら」と嘲笑されそうだが、蓮舫民進党代表の二重国籍問題は、我々日本人に改めて、国籍の何たるかを考えさせる機会を与えた。  単一民族である日本人は、出生と同時に日本国籍を得られる。そのため、国籍の持つ意味合いを深く考えて来なかったのではないか。  「国籍」を得るとはどういうことか?国籍を得るということは、言い換えれば「どの国に忠誠心を誓うか...

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 国際通貨基金(IMF)は10月1日付けで、中国の人民元(RMB)を特別引出権(SDR)通貨バスケットに採用した。新たなSDRの構成比は、米ドル41.73%、ユーロ30.93%、人民元10.92%、日本円8.33%、ポンド8.09%の順となる。  主要先進各国は、中国政府が為替レートや国境を越える資本の動きを厳しく管理していることを踏まえ、人民元のSDR入りを疑問視しているが、IMFは中国の経済...

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 昨今の産経新聞紙上では外国人が日本の土地を買収することについて懸念する連載記事が掲載され、日本維新の会がこれを規制する法案を今国会に提出することとなった。その議論の中では安全保障上、また水資源を守ることが目的となっているが、安全保障上の問題で議論となっていないことを述べてみたい。  尖閣諸島を始めとする南西諸島方面で有事が生じた場合、防衛白書の「南西地域への機動展開イメージ図」が示すように、補...

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 来月の米大統領選を前にオバマ大統領の安全保障政策を総括してみたい。彼が任期中に公表した「国家安全保障戦略」には、前文で「スマートな国家安全保障戦略は単に軍事力に頼らない」と述べ、本文でも「力の行使は我々の処理の単なる道具ではない」など書いている。  仮に念頭にあっても表には出さぬ方がいいこともあるが、これを読んで中国、ロシアや北朝鮮は「オバマ政権組みしやすし」と考えたに違いない。事実、南シナ海...

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 ヒラリーかトランプか――。米大統領選挙を前に日本では新政権のアジア政策を心配する声が高まっている。私もよく「トランプだと中国も困るのでは?」と訊かれ戸惑う。「誰が大統領でも困らない対策を講じるのが中国の外交戦略」であり、日本のように外交の吉凶を大統領の個性に委ねたりしない。ちなみに「中国の海洋進出はオバマの弱腰による」というのも都市伝説で、中国人に言えば、みな笑う。  中国が海洋進出を前進させ...

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