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2016.10.14 (金) 印刷する

国会議員や官僚の重国籍は法で禁止明記せよ 宮本雅史(産経新聞編集委員)

 「国籍」とは一体何だろうか?こんな質問をすると「何を今さら」と嘲笑されそうだが、蓮舫民進党代表の二重国籍問題は、我々日本人に改めて、国籍の何たるかを考えさせる機会を与えた。
 単一民族である日本人は、出生と同時に日本国籍を得られる。そのため、国籍の持つ意味合いを深く考えて来なかったのではないか。
 「国籍」を得るとはどういうことか?国籍を得るということは、言い換えれば「どの国に忠誠心を誓うか」ということである。日本国籍を持つということは、「日本国に徹頭徹尾、忠誠心を誓う」ということだ。普通の戸籍とは、全く意味が違うのである。

 ●あり得ない複数国への忠誠
 「国籍」を忠誠心の証と捉えると、蓮舫議員の場合、台湾と日本双方に忠誠心を誓ってきたことになる。どちらが真の忠誠心なのか?たとえ、日本への忠誠心を強調しても、外形的事実はそれを許さない。「国籍」とはそういうものなのである。
 法務省は、重国籍に当たるケースとして、「日本国民である母と父系血統主義を採る国の国籍を有する父との間に生まれた子」「帰化または国籍取得の届出によって日本の国籍を取得した後も引き続き従前の外国の国籍を保有している人」など5つのケースを上げ、国籍法は、二重国籍の日本人に、22歳までに日本国籍か外国籍かを選ぶことを迫っている。合法的に自分で国籍を選べるのである。繰り返すが、日本国籍を選ぶということは、その時点で、日本国に忠誠心を誓うということなのである。
 この解釈にたつと、日本国に忠誠心を持てない日本人からは、日本国籍を剥奪しても構わないということになる。言い過ぎだろうか?それほどまでに国籍の持つ意味は大きい。反対に、日本国に忠誠心を誓えるならば、たとえ外国人でも日本国籍を与えても問題はない。ただ、その場合、帰化を例に挙げるなら、日本国への「忠誠心の宣誓」を最低限の条件にし、それが破られた場合は即刻、国籍を剥奪するということを徹底するのは言うまでもないことだ。

 ●公選法などの改正は急務
 公権力の行使や国家意志の形成に参画する国会議員や官僚の場合、任用資格の一つとして日本国籍を必要とする国籍条項が定められているが、二重国籍を禁じていない。
 では、二重国籍問題をどう解消するか。国籍の選択の自由をこれまで通り保障するが、一方で、国籍法を「二重国籍は禁止する」と、公職選挙法も「日本人に限る」と、それぞれ改正することが急務だ。それは、政治家や公務員だけではなく、全ての国民を対象にすべきである。なぜなら、例えば国務大臣の場合、民間登用のケースもあるからだ。
 国籍法や公選法の改正は、日本国の在り方を考える上で、重要な意味を持つ。