2014年6月24日、ワシントンDCにある中国大使館前の通りを、ノーベル平和賞を受賞した獄中の反体制作家・劉暁波にちなんだ名前に変えるよう命じる(国務長官に予算措置を指示する)法案が米下院歳出委員会で可決された。
委員長のフランク・ウルフ議員は北朝鮮の人権問題でも、長年、追及の先頭に立ってきた。法案の狙いについて同議員は、「世界の人権問題に常に目を光らせ、揺るがぬ姿勢で取り組むとの強いメッセージを発する」ためと述べている。
また、今年1月、やはり長く獄中にあった旧ソ連の反対制活動家ナタン・シャランスキー(現在はイスラエル在住)の人権問題会合での証言から具体的アイデアを得たとも語っている。アメリカではかつて、ワシントンのソ連大使館前をサハロフ通りと名付けた事例がある。アンドレイ・サハロフは言うまでもなく、旧ソ連の反対制物理学者で、シャランスキーの師匠格に当たる。
この法案が、この先、上下両院の本会議も通過すれば、ワシントンの中国大使館の住所は、現在の3505 International Place NWから「劉暁波プラザ1番」(No. 1 Liu Xiaobo Plaza)に変わることになる。大使館宛の郵便物には、劉暁波の名前が常に載ることになり、大使館員の名刺も、住所欄をどうするか見ものである。
良いことは積極的に取り入れたい。日本にある中国大使館の住所も、現在の東京都港区元麻布3-4-33から、大使館の敷地部分だけを、例えば「港区劉暁波1-1」、あるいは夫人の劉霞さん(自らも軟禁状態に置かれている)の名前も加え、「港区劉暁波劉霞1-1」と改めてはどうか。大使館前の通りを「チベット・ウイグル自由通り」等と変更する法案も、別に用意すればよいかも知れない。
軽いジャブ程度、と揶揄する向きもあるかも知れない。しかし、ジャブすら打てないボクサーが、強いストレートを打ち込めるはずがない。
議員立法の動きを起こし、賛同者を募る過程で、各政党、各議員の理念的姿勢がおのずと明らかになろう。人権派を以て任ずる左翼議員たちは一体どうするのか。自民党内でも対応は分かれよう。誰が積極的に応じ、誰が尻込みするか、有権者にとって大いに参考となるはずだ。それだけでも意義がある。
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