historyはhis storyであって、your storyでもなければましてやmy storyでもない。日本からみた歴史と、周辺国家からみた歴史、また実際に日本との外交、交戦に係わった当事国からみた歴史とは、それぞれ別の意味を持つ。真実はひとつだが見方が違うのだ。
私は、個人の人間がそれぞれその出自や環境、経歴によって人格と言うものを形成するのと同じように、個々の意思や思惑が集まってあたかもひとつの人格かのような“国格”なるものを形成するのではないかと思っている。集団によって形成された世論が、各国の見方となり言動を左右していく、という仮説だ。しかし、世論形成が大衆文化によって構成されるとすれば、国家と言う単位があたかも個人の人格と同じような態度を示すことはあながち的外れでもないだろう。ここで注意が必要なことは、平均化された大衆の言動は、第一線で研ぎ澄まされた国際感覚など持ち合わせてはおらず、どの国家も例外なくその標準化点よりもいささか更に低いあたりであるということだ。
ここで必要な国際対話とは、あたかも立場も見解も大いに異なる人物を相手に、心理学的な手法を持ち込んで対話をしていかなければならないということだ。一方的な主張は一気に相手の心を身構えさせる。まずはお互いの立場の違いを明確にし、storyの押し付けをしないこと。そして押し売りを受け入れないことだ。your storyはmy storyではないのだから。
国基研ろんだん
- 2024.11.18
- 本当の「年収の壁」 本田悦朗(元内閣官房参与)
- 2024.11.14
- インドは途上国の反米化の阻止役 近藤正規(国際基督教大学上級准教授)
- 2024.11.13
- トランプ政権復活を歓迎するインド 近藤正規(国際基督教大学上級准教授)
- 2024.11.11
- 米国の戦前への回帰を警戒せよ 冨山泰(国基研企画委員兼研究員)
- 2024.10.28
- BRICS活用に失敗したプーチン氏 湯浅博(国基研企画委員兼研究員)
- 2024.10.21
- 中国軍の台湾封鎖演習が持つ意味 中川真紀(国基研研究員)
- 2024.10.07
- 日朝連絡事務所は選択肢として排除すべきでない 荒木和博(特定失踪者問題調査会代表)
- 2024.10.01
- 「高市氏は靖国参拝を公言して負けた」論に思う 西岡力(麗澤大学特任教授)
- 2024.10.01
- 総裁選で変わらぬメディアの対応 石川弘修(国基研企画委員)
- 2024.09.30
- 世界に広がる印僑ネットワーク 近藤正規(国際基督教大学上級准教授)