鈴木寛・文科大臣補佐官は9月25日、国家基本問題研究所で、「安倍政権における教育改革」の進展について説明、同研究所企画委員と意見交換を行った。
鈴木氏は、慶応大学教授を務め、同時に下村博文・文科相の補佐官として、教育改革を推進している。この中で、国立大学の人文社会系の見直しが、一部メディアで課程の「廃止」と報道されたのは誤報であると否定した。
初中等教育について、鈴木補佐官は、話し合いや論述など「話す、聞く、書く」学習が低調であるとの問題を指摘した。大学入試の国際比較をすると、例えばフランスのバカロレア(大学入学のための国家試験)の入試問題では「幸せになるために何でもすべきか」(人文系)「ハンナ・アーレント(ドイツ出身のユダヤ人哲学者)「人間の条件」の抜粋の解説」(社会科学系)などが出題されており、日本でも思考力を問う問題作りが必要であると指摘した。
同補佐官によると、米国では大学生一人当たり年間2万9千ドル(国、寄付、自己負担それぞれ三分の一)が支出されているのに対し、日本では7千ドルに過ぎない。学生数に比べ教員の数が少ないためで、大学教育充実のためのコストへの理解を求めている。(文責・国基研)