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2016.03.25 (金) 印刷する

「原子力政策と規制の課題」 岡本孝司・東大院教授

 岡本孝司・東大大学院教授は、3月25日、国家基本問題研究所において、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員に対し「原子力政策と規制の課題」について述べ、その後意見交換した。

16.03.25

岡本教授は、神奈川県出身、東京大学工学部原子力工学科、同大学院を修了後、三菱重工神戸造船所、東京大学工学部原子力工学科等を経て平成23年から東京大学大学院工学系研究科教授。三菱重工では「もんじゅ」の設計、製作に携わり、その後大学に戻り、研究、教育に従事しながら原子力問題に取り組んできた、実務と理論の両面での第一人者である。

教授は、現在の原子力問題の大部分は規制と政策に課題があることを説く。すなわち、規制の面では、全体として総合的リスク低減が重要であるにもかかわらず、目先の小さなリスクにこだわる構図が見えるという。たとえば、高浜原発の竜巻対策でも、極わずかな確率の竜巻発生のリスクを低減するために、異常なほど頑健な防護壁で配管を囲い、そのため日常の点検整備がしづらくなり、その結果別のリスクが生じているとのこと。

政策の面では、核燃料サイクルをわが国で完結させることが、エネルギー安全保障上重要であるにもかかわらず、その中心である高速増殖炉をフランスなどの他国にゆだねるような政策がとられようとしている実体を指摘した。また、文部科学省と経済産業省がそれぞれ予算をとっていて、そこに縦割り行政の弊害が生じているとも訴えた。

(文責 国基研)