1 全 般
5月1~5日の労働節休暇後、各部隊の訓練が活発化している。陸軍ヘリによる海上低空飛行訓練や海軍のデータリンクによる視程外射撃訓練などが確認された。また、着上陸訓練場にて水陸両用車の海上運航を行っている報道が増加し、現時点では単車の操縦及び小隊単位の海上機動を主に訓練している段階と見られる。
台湾に対しては、台湾当局が黄海・東シナ海・台湾海峡・南シナ海に海軍・海警あわせて50~70隻の展開が確認されたと述べるほか、台湾本島東南部で空母遼寧やユーシェン級揚陸艦を含む揚陸艦艇群が活動した。更に台湾の実効支配する東沙島での海警船の活動が確認されており、東沙においても中国海警の「法執行パトロール」常態化開始を企図する等、海上における圧力を強化した。
日本に対しては、3日に日本民間機の尖閣上空飛行に対し、ヘリ搭載船含む4隻が領海侵入し、ヘリを発着させ領空侵犯を行った。月末には、空母遼寧が尖閣諸島に近い位置で離発着訓練を実施した。この目的としては、①尖閣領空侵犯に対し、日本が新たな対応を採らないよう牽制、②北部戦区空母編隊が台湾侵攻時の現実的な任務を東部戦区の対尖閣警戒監視艦艇と共に訓練、の2つが考えられる。
南シナ海においては、日米等との連携を強化するフィリピン(以下、比)への圧力を継続した。
軍事交流においては、4月に開設された中カンボジアリアム港共同保障訓練センターを活用し、カンボジアとの共同訓練を実施した。訓練のために寄港した中国艦艇は、センターの所在する北側地区にある新たに建設された桟橋に接岸した。4月にリアム基地に寄港した海上自衛隊及びベトナム海軍の艦艇は南側地区に接岸しており、北側地区は中国が排他的に使用している可能性があり、同センターが実質的に中国の海外基地として機能していると言えよう。