インドから訪日中のルーパク・ボラ政治学博士は6月24日、国家基本問題研究所で、「インドから見た政治・経済・安全保障の構図」について語り、企画委員と意見交換を行った。
ボラ氏は、元インド・パンディット・ディーンダヤル石油大学准教授、英ケンブリッジ大学やオーストラリア国立大学などで客員研究員を務めたことがある政治学博士である。当研究所で意見交換するのは3回目。今回、日本戦略研究フォーラムの研究員として訪日中であり、国基研での意見交換を希望し来所したもの。
ボラ氏は、インドの人口構成は20歳代の若い働き手の年代が多く、産業もハイテクを中心に幅広く、今後も経済成長が続くと見積もる。安全保障についての認識は、地政学的に見て、東西と北を陸上の国境で閉ざされているが、南の海洋は開かれた環境にある。これに中国の真珠の首飾りが締め付けを強めている状況。たとえば、タイのクラ地峡に運河を掘削する計画に中国が乗り出すのは、その意味でも注目されるとする。
インドとしては、米国や日本との協力を強化してバランスをとるのがモディ政権の方針。例えば海上アクセスの関係では印米の後方支援協定により安全保障環境を整え、自国の空母ビクラントを就役させることで正面兵力の強化を図っていると述べた。また、陸上アクセスの関係では、東西に延びる国際交通網の整備、例えばインドからミャンマー、ベトナムへの道路整備を進め、特に東南アジアとの関係強化に努めているとのこと。
同氏は、その他にチベット問題、水の問題、トランプ候補の話など、多方面にわたる話題を提供し、企画委員と意見を交換した。
(文責 国基研)