6月8日、国家基本問題研究所は、台湾安全保障協会副理事長の李明峻氏及び新台湾国策智庫研究部主任の林彦宏氏を招き、日台交流会議を初開催した。本会議は、日台研究所間の交流を図ることを目的に企画された。今回のテーマは、今後の国際政治における米国の役割変化と対中、日中関係を展望するものである。
会議は今回、企画調整を担当した太田企画委員の開催趣旨説明および招待者の紹介からスタートし、冒頭、台湾側代表である李明峻副理事長及び国基研櫻井よしこ理事長から開会の辞が述べられた。
引き続き、今後の国際政治における米国の役割変化と題し、島田企画委員が発表。島田氏はトランプ政権の対中姿勢を「批判的親中」と表現し、さらに南シナ海問題ではシンガポールと台湾が鍵になるとした。李氏は、蔡英文政権とトランプ政権との当初の良好な関係が変化、現在は米中台の関係を現状維持と表現。今後の見通しとして、朝鮮半島の情勢と日本の影響力が台湾の命運を握るとした。
次に、林氏が台中関係の展望を説明。台中間にある92コンセンサスの扱いが一つの焦点になるとともに、大陸との経済的な依存関係が続くことで、特に若い世代に緊張感が薄れている現状についても言及。現状に対する危機意識の欠如は日台両国の問題でもあるとの認識で一致した。さらに産経新聞外信部次長の矢板氏が、日中関係の展望を説明。小泉政権時の「政冷経熱」から現在の「政冷経冷」にいたるまで、常に中国のペースで進められてきたという。今後は、スパイ容疑で拘束された日本人が中国の対日カードに使われるだろうと指摘した。
台湾側両氏は、台湾における日本専門家が非常に少ないという事実について言及。台湾人の日本に対する好感度は高いにもかかわらず、日本を研究する場所も機会もなく、留学生も少ないことは、今後の日台交流にも影響するのではと警鐘を鳴らした。
最後に、第2回を台湾で行い、できれば米国も交えて交流会議を継続していくことで意見の一致を見た。
ちなみに、今回来所した李氏は、京都大学で博士を取得、岡山大学准教授という経歴を持つほか、中華民国相撲協会理事長も務める。林氏も岡山大学で博士を取得した知日派である。