国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)は、8月29日、通算6回目となる名古屋での講演会を、名鉄グランドホテルにて開催した。
講演会は、大変蒸し暑い天候にもかかわらず、塚本三郎理事をはじめ100名強の参加者は皆真剣そのもので、講師の話に食い入るように聞き入っていたのが印象的であった。
今回の講師は元陸上幕僚長の火箱芳文氏、司会は黒澤事務局長が務め、約1時間半の講話に続き30分の質疑応答という時程で進行した。火箱元陸幕長は現在、国基研の理事であり、かつて名古屋に所在する第10師団の師団長を勤めたことも。名古屋とは少なからず所縁があるという。
内容は「激動する国際情勢と日本の安全保障―国家と国民をいかにして守り抜くか―」と題して、陸上防衛のトップを担われてきた火箱理事の貴重な経験をもとに、周辺情勢からわが国の防衛政策の現状まで幅広いものであった。とくに、陸上兵力を他国と比較すると、わが国が突出して不足している現状など、他では決して語られないような話題は、聴講した参加者にとって新たな発見になったという意見も聞かれた。
終了時刻を超過しつつも会場からの熱心な質疑に応じ、最後に、専守防衛から積極防衛へ、防衛予算を対GDP比2%程度へ、非核3原則の撤廃など、様々な私案を提起し、参会者からの喝采ももって講演を終えた。
国基研は、今後も地方での活動を展開すべく、このような機会を設けていく所存である。(了)