公益財団法人 国家基本問題研究所
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2024.05.08 (水) 印刷する

中国軍事動向月報 2024年4月

1 全 般
2024年上半期入隊の新隊員が3月下旬以降各教育隊に着隊し、4月には本格的な教育訓練を開始。各部隊も機能別、小単位の訓練を実施し、練度を向上させている段階である。

4月19日、戦略支援部隊を解組し、情報支援部隊を新編。3月の全人代軍・武警代表団全体会議で習近平が指示した、「新領域の戦略能力向上」のための軍整備の一環である可能性がある。

対外行動に関しては、台湾・フィリピン(以下、比)に対する強硬姿勢が目立った。台湾に対しては、金門周辺海域での中国海警船パトロールの実施等、比に対しては、南シナ海での中国海警船による比巡視船への放水等、共に圧力を強化。いずれも海警船を最前線に配置し、グレーゾーンを利用し一方的な現状変更を行う戦略を継続している。また、日米豪比共同訓練への対応として、南部戦区が南シナ海で海空協同戦略パトロールを実施する等、米軍を基軸とした連携に強く反発した。

日本に対しては、日米同盟の強化、自衛隊の南西シフト等に繰り返し反発、台湾有事を見据え、第一列島線における日本の影響力排除を企図した認知戦を展開している。尖閣周辺海域では、石垣市のチャーターした海洋調査船に中国海警船が前回調査時より接近するという事象が報道された。ただし、それ以外の動向には変化なく、同船に国会議員団が乗船していたことを日本からの政治的メッセージととらえ対応せざるを得なかったものの、現時点では日本との過度の衝突は望んでいない可能性がある。