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9月からの訓練最盛期が引き続いており、統合訓練や実射訓練等の報道が多く確認された。
10月14日、台湾侵攻を主担当とする東部戦区は、台湾周辺海空域において統合演習「聯合利剣-2024B」を実施。これは5月に実施した頼総統就任後の「聯合利剣-2024A」に続くもので、台湾双十節に対応した政治的メッセージを含むものであった。また、「聯合利剣-2024B」実施日の前後に、日本南西諸島周辺海域において、演習参加艦艇とは別に、尖閣周辺で活動していた艦艇2隻及び中露共同パトロールに参加していた艦艇4隻が確認された。台湾有事の際の日本への対応を想定して同時期に南西諸島付近を航行した可能性も否定できない。
10月17日、習近平中央軍委主席が、ロケット軍某旅団を視察。同旅団は、以前日本を射程範囲に収める準中距離弾道ミサイル(核)DF-21Aを装備していた旅団であり、現在はグアムを射程に収める中距離弾道ミサイル(核・対地・対艦)DF-26に換装されていることが確認された。対日核抑止任務は、内陸部のDF-26または沿岸部のDF-17の部隊に移管された可能性もある。
国境地域では、中印実効支配線地域において、2020年6月以降の対峙状態から緊張緩和が図られた。10月23日の習近平国家主席とモディ印首相との会談では、両首脳が国境問題解決に大きな進展があったことを評価。両国部隊は対峙地域から撤退を開始している。
一方、南シナ海においてはフィリピンに対する強硬姿勢を維持したまま、ベトナムやインドネシアに対しても一方的な取り締まりを強化している。中国は同海域において、資源の確保と共に台湾問題に影響を及ぼす日米豪等の動向に注視しており、今後も特に米国の影響排除を目指し、自国のプレゼンス強化を図っていくと思われる。