公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2018年5月の記事一覧

 トランプ米大統領の暴走が止まらない。5月23日には、ロス商務長官に通商拡大法232条(国防条項)に基づき、乗用車やトラックなどの車両や関連部品の輸入が国内の自動車産業を侵害し、安全保障を脅かしている可能性を指摘して調査するよう指示した。鉄鋼・アルミニウム輸入制限と同様の手段を自動車にも適用することを目論んでいる。米メディアによると、トランプ大統領は現在2.5%の乗用車関税に最大25%の上乗せの検...

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 5月19日に放送されたNHKスペシャル「日本の諜報 スクープ 最高機密ファイル」を見た。端的に言えば「防衛省情報本部の電波部が個人のインターネット内交信までを監視している。日本の情報によって他国が武力行使を行えば、武力行使を禁じた日本国憲法に違反する可能性がある」とする内容である。しかし、この番組は専門的な知識に乏しい素人が作成したとしか思えない、悪意に満ちた印象操作番組であることを指摘したい。...

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 5月26日にモスクワで行われた日露首脳会談は3時間近くに及んだが、平和条約交渉で進展はなかった。安倍晋三首相が「平和条約の第一歩」と位置付ける4島での共同経済活動も、事業化合意に至らず、ロシア側があまり望んでいないことを示した。両首脳の任期中の平和条約締結は困難な情勢であり、対露政策の再検討が必要だろう。  ●両首脳の基本認識にズレ  プーチン大統領は2016年の訪日時に、「領土問題の討...

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 米国防総省は5月23日、中国海軍の環太平洋合同演習(リムパック)への招待取り止めを発表した。  米側は、南シナ海の中国人工島を軍事化したことを理由としているが、5月初めにはアフリカのジブチ上空で中国軍基地から米軍機がレーザー照射を受けたこともある。どこまで米国は中国にナイーブなのかと思っていただけに、今回の決定は寧ろ遅きに失した感すらある。  ●理解に苦しむ王毅外相の反論  これに対し...

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 16日、北が南北閣僚級会談を突然キャンセルし、6月の米朝首脳会談の開催をも警告するようになったのは何故か。  日本のメディアが、「春より規模が小さい米韓空軍演習に反発しているのは何故か」とか、「北朝鮮の常套手段である首脳会談前の揺さぶり」とかコメントしているが、筆者は、これまでも本欄で既に書いているように、戦術核搭載の米爆撃機B-52を北は相当嫌がっていると推測している。  ●的外れな日...

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 インドのモディ首相と中国の習近平主席による非公式首脳会談が4月27、28の両日、中国の武漢で開催され、インドや中国ばかりか、世界を驚かせた。これは、昨年、中国がブータンのドクラム地域(中国が領有権を主張)で道路建設を開始し、これに対してインドがブータン側に立って介入するという両国間の小競り合いがあった後だけに、喜ばしい予兆である。  これは非公式の首脳会談だったので、会合からの「お持ち帰り(テ...

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 多くの日本人、米国人と、少なくとも一部の韓国人は、北朝鮮の狙いに疑いを抱き、平壌からの真の歩み寄りなしに圧力を緩和すべきでないと賢明にも警告している。北朝鮮は過去に何度もそうであったように、対話をして「アメ」を喜んで受け取るが、約束を最後まで守らないだろうという悲観論が多いのも無理はない。トランプ大統領と安倍晋三首相は、真の進展がない限り制裁を緩和しないという強い立場を取るべきだ。結局のところ、...

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 中国の経済圏構想の「一帯一路」は、誰しも現代版のシルクロードとして陸と海から西方へ向かうものと考える。実際に習近平政権は、米国との摩擦を避けるためもあって、古代シルクロードの沿線国にインフラ投資を繰り返してきた。ところが、中国は米国の「裏庭」にあたる中南米にも食指を伸ばして、ここに「一帯一路」をかぶせようとしている。そこには経済的理由のほかに、米国の関心を自国周辺に移させ、アジアで自由に行動させ...

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 南北首脳会談を経て、北朝鮮に対し融和的な発言をするメディアが増えている。しかし、北朝鮮に拉致問題解決へ向けて動く気配は無く、むしろ日本批判を鮮明にしているようだ。また、北朝鮮の対日戦略においても不安な要素が多い。  ●海難ではありえぬ軽い破損  近年、北朝鮮の木造漁船が漂着する事件が増加している。一昨年は66件、昨年は104件、今年に入り既に40件近く発生している。ただ、一昨年と昨年、今...

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 本年頭に『米中海戦はもう始まっている』(マイケル・ファベイ著、赤根洋子訳、文芸春秋)という本が出版された。著者は軍事ジャーナリストで、副題は「21世紀の太平洋戦争」。帯には「アメリカの親中派はこうして敗れた」とある。  内容は、数年前に出版されたマイケル・ピルズベリー著の『100年マラソン』と同様、これまで「米国は関与することにより中国も変わって行くであろう」との政策で臨んできたが、一向に中国...

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