2019年10月の記事一覧
出生率高め持続可能な地域づくり 中山義隆(石垣市長)
石垣市は東京から1952km、沖縄本島からは411km南西にあり、日本列島の最南端に位置する八重山諸島の中心にある。亜熱帯海洋性気候に属し、年平均気温は24.3度、湿度は77%と高温多湿だが、「詩の邦 歌の島 踊りの里」といわれる格調高い伝統文化を誇る。沖縄文化の中でも優れて独立性の高い、民俗行事、古謡、節歌、民俗舞踊、歌謡音曲等を有している。 中心は観光産業だが、6年前の新空港オープン、大...
習近平を国賓招待している場合か 島田洋一(福井県立大学教授)
10月22日の即位礼正殿の儀における天皇皇后両陛下の立派な立ち居振る舞いを見ていて、中国の一段のファシズム化、対外膨張を押し進める習近平国家主席に対し、宮中晩餐会の場で「心から歓迎する」おことばを政府は強いてはならないとの思いを強くした。国賓招待は取り消すべきだろう。 これがアメリカなら、「国賓待遇で」という話が出た途端、有志議員が反対決議をまとめ、時を経ず超党派、圧倒的多数で議会を通過する...
関電の闇を徹底解明し、信頼取り戻せ 奈良林直(東京工業大学特任教授)
関西電力の役員ら20人が福井県高浜町の森山栄治元助役(故人)から多額の金品を受け取っていた問題で9日、八木誠会長と岩根茂樹社長が記者会見し、それまでの強気な態度を一変させ、いずれも事態の責任を取って辞任することを明らかにした。八木会長は即日辞任し、岩根社長は、関電が設置する第三者委員会の調査報告を待って辞任するというが、あまりに対応が遅すぎる この問題では9月27日の会見で社内調査の結果が公...
ソロモンを中国が軍事拠点化 冨山泰(国基研研究員・企画委員)
南太平洋の島国ソロモン諸島が9月に外交関係を台湾から中国に切り替えた直後、中国国営企業が同諸島の島一つを丸ごとリースする契約を地方政府とひそかに結んでいたことが分かった。この島には天然の深海港があり、中国海軍がここに足場を築けば、同盟国である米国とオーストラリアの両国軍の連携が分断され、米国の太平洋軍事戦略に重大な支障が及ぶ恐れがある。 ●狙いは米同盟軍の分断 リース契約を結んだのは...
米中合作映画に見る中国の野望 石川弘修(国基研理事・企画委員)
中国が南シナ海で自国の領有権を含む歴史的権利を主張する「九段線」が登場するアメリカとの合作映画「アボミナブル」が中国との間で領有権問題を抱える東南アジア諸国の反発を買っている。 ベトナムとフィリピンが13日から相次いで国内で上映を禁止し、次いでマレーシアも17日、上映条件として該当箇所の削除を命じた。中国の軍事的拡張だけでなく、映画などでバックアップする文化的攻勢は強まることはあっても弱まる...
「用心棒の風呂焚き」を危惧する 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
用心棒として雇ったが、普段仕事がないので風呂焚きとして毎日便利に使っていたところ、ある日賊が入り、肝心の時に本来の役目が果たせなかったという話がある。 相次ぐ台風の襲来に自衛隊が便利屋として使われている。入浴施設の提供や給水支援等は被災者の評判もよくメディアも好意的に扱っているが、浴場を提供する国軍は国際的に見ても稀有な存在である。副次的な任務に勢力や時間を費やしてばかりでは、本来の任務が疎...
日本の防衛産業衰退が意味すること(下) 吉岡秀之(元航空自衛隊補給本部長)
31中期防では、防衛産業に対する施策として、研究開発を含む装備品のプロジェクト管理の強化と費用対効果の向上、部品等の国際市場からの調達、重要技術について研究開発ビジョン策定、コスト管理の厳格化、企業間の競争環境の創出に向けた契約制度の見直しなどを上げている。 大手ならまだしも、中小企業にこれらの施策をそのまま適用した場合、撤退、廃業等がより顕在化するのではないだろうか。これらの実状を踏まえて...
日本の防衛産業衰退が意味すること(上) 吉岡秀之(元航空自衛隊補給本部長)
米軍事専門誌Defense Newsが7月、世界の防衛企業「トップ100」を発表した。わが国企業では、昨年まで三菱重工業、IHI、三菱電機などが名を連ねていたが、今回は98位に石油元売り大手JXTGエネルギー、99位に伊藤忠、100位に川崎重工が入っただけだ。JXTG社は燃料、伊藤忠は一般輸入装備品等を扱っており、製造業は川崎重工だけである。同リストは、外国政府・企業に「日本は自国の防衛産業に見...
「表現の不自由展」と表現の自由 髙池勝彦(弁護士)
愛知県で3年に1度開催される「あいちトリエンナーレ2019」が14日、名古屋で75日間の会期を終へて閉幕した。現代アートの祭典だとのことであるが、その一環の企画展として「表現の不自由展・その後」といふものが開催されたが、「放火を示唆する内容のファクスやテロ予告のメールを含む抗議が県などに殺到し、通常業務への支障や観覧者の安全確保などを理由に開始から3日で中止に追い込まれた」(朝日新聞10月9日付...
香港から再び台湾へ、時代革命のカギ握る若者の力 林建良(『台湾の声』編集長)
香港の若者が「光復香港・時代革命(香港を取り戻せ、 時代の革命だ)」というスローガンを掲げて、中国共産党と戦っている。これは自由と民主主義を守る独裁専制との戦いであり、台湾では中国寄りの勢力を除き、政府も民間も香港の若者たちを明確に支持している。 2014年の台湾のヒマワリ運動をはじめ、同年の香港の雨傘運動、そして2019年の「逃亡犯条例改正反対運動」から発展してきた「時代革命」は若者たちの...
建国70周年軍事パレードで示した中国の狙い 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
10月1日、中国で建国70周年の軍事パレードが過去最大規模で行われた。習近平政権の下での軍事パレードは、2015年の抗日戦争勝利70周年、2017年の軍創設90周年に継ぎ3回目である。江沢民、胡錦濤政権時代、軍事パレードはそれぞれ1回のみであったことから、習主席がいかに軍に力を入れているかが窺える。 習近平は、事あるごとにアヘン戦争からの約100年を「屈辱の100年」とし、「軍事的に弱かった...
日米貿易協定、合意は交渉の始まりだ 大岩雄次郎(国基研企画委員兼研究員)
安倍晋三首相とトランプ米大統領は日本時間の9月26日、日米貿易協定の最終合意を確認し、共同声明に署名した。 安倍首相は「これは両国の消費者、全ての国民に利益をもたらす合意になった」と自我自賛してみせた。 一方、トランプ大統領は署名に際して「驚異的な新貿易協定」「米農家にとって巨大な勝利であり、それが私にとって重要なこと」としつつも、あくまで「第一段階」と位置付け、「かなり近い将来により包...