公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2022年7月の記事一覧

令和4年度版防衛白書が公表された。今回の特徴は、ロシアのウクライナ侵略について章を設けて詳述したことと、台湾に関する記述を倍増し、台湾侵攻シナリオを初めて記載したことだろう。 昨年、中国に対する認識を「脅威」と言わず「安全保障上の強い懸念」と記述したことに賛否両論があった。今年も「脅威」とは述べていない。これを踏襲した上で「こうした傾向は近年より一層強まっていることから、今後も強い関心を持っ...

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「残忍な皇太子を認知」 米国のバイデン大統領が就任後、初めて中東を訪問、最大のハイライトのサウジアラビアでは事実上の最高指導者ムハンマド皇太子と直接会談するなど、4年前のジャーナリスト殺害事件で悪化していた両国関係を修復した。ロシアのウクライナ侵攻後、国際社会は激変し、米国が主導する西側陣営と中国、ロシア、イランとの角逐が強まっており、米国としては、「中東域内の安全保障の空白を彼らに埋めさせ...

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韓国の文在寅前政権が北朝鮮住民の人権を踏みにじり、北朝鮮の金正恩政権にこびを売っていた証拠が出てきた。韓国統一省が7月12日、日本海で韓国海軍に拿捕された北朝鮮漁船の漁民2人を2019年11月に北朝鮮へ強制送還した際の写真10枚を公開した。 2人は自筆の亡命意向書を書いていたが、当時の金錬鉄統一相は「亡命意思には真実性がなかった」「漁民は死んでも(北朝鮮に)戻ると話した」と説明していた。 ...

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安倍晋三元首相が暗殺されたことを受けて、北朝鮮拉致被害者の「家族会」と「救う会」は7月8日、連名で声明を出し、「拉致というテロと戦ってきた安倍総理がテロに遭うという事態がなぜ起きるのか。悔しくて悲しくて言葉にならない」と突然の死を悔やんだ。そして、「安倍総理が主導した北朝鮮への最強度の制裁は今、効果を上げている。金正恩政権は存亡の危機から脱出するために拉致問題での日本との交渉を真剣に検討していると...

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7月10日に投開票が行われた第26回参院選挙では自民党が大勝し、野党第1党の立憲民主党が議席を大きく減らした。この結果をめぐって、立憲民主党の最大の支援組織である日本労働組合総連合会(連合)の影響力の弱体化、集票力の低下が指摘されている。その理由として言われているのは、①労働組合の組織率が低下している ②若者を中心に政治的無関心層が増加し、労組内部にも影響が出ている ③連合幹部が自民党に急接近して...

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7月13日に東京で行われた国基研日本研究賞関連行事で、受賞者エヴァ・パワシュ=ルトコフスカ博士(ポーランド)の日本・ポーランド関係史に関する講演を拝聴した。講演では戦前におけるポーランド軍と旧日本軍の諜報協力について話があったが、2000年代初めのイラク復興支援におけるポーランド軍と自衛隊の協力関係については触れられなかったので、当時、防衛庁情報本部長であった筆者の体験を紹介したい。 「武装...

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安倍晋三元首相がテロ行為によって殺害されたことは、インドにも大きな衝撃を与えた。モディ首相は「最も親しい友人の悲劇的死去に、私は言葉にできないほどの悲しみと衝撃を受けている」とツイッターに投稿し、事件翌日の7月9日にインドが国を挙げて喪に服すると発表した。インドで過去に他国政治家の死去を受けて国全体が服喪した例を私は知らない。 モディ氏と安倍氏の付き合いは、モディ氏がまだグジャラート州の首相...

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安倍晋三元首相が参院選の応援演説中に凶弾に倒れるという悲劇が起こった。2015年6月26日、私は「ある思い」があって、首相公邸で安倍氏と面会した。私は労働組合運動一筋にやってきたので、それまで安倍氏との接点はなかった。 聞いてもらった二つの「思い」 私の所属するUAゼンセンは、北朝鮮の拉致被害者の早期帰国を求める運動を行っている。当時、私はその会長を務めていた。政府が認定する北朝鮮によ...

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対策は平時のコメ増産と輸出 減反をやめてカリフォルニア米と同程度の面積当たりの収穫量(単収)の米を全水田に作付けすれば、米の生産は1900万トンとなる。一気にここまでできないとしても、1700万トンは生産できる。平時は700万トンを消費して1000万トンを輸出すればよい。危機の時は輸出していた米を食べるのだ。平時の米輸出は、危機時のための米備蓄の役割を果たす。平時の自由貿易が、危機時の食料確...

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ロシアの黒海閉鎖により、世界第5位の小麦輸出国ウクライナの輸出が減少し、中東やアフリカ地域では飢餓が生じている。 ウクライナはルーマニア等を経由して輸出を続けているが、船に比べ鉄道では大量の輸送が困難である。ロシア軍が6月30日、黒海のズメイヌイ島から撤退したことにより、オデーサ(オデッサ)港など黒海を通じた穀物輸出再開の可能性も出ている。ただし、ロシア軍は海上輸送を妨害できるし、黒海に仕掛...

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