historyはhis storyであって、your storyでもなければましてやmy storyでもない。日本からみた歴史と、周辺国家からみた歴史、また実際に日本との外交、交戦に係わった当事国からみた歴史とは、それぞれ別の意味を持つ。真実はひとつだが見方が違うのだ。
私は、個人の人間がそれぞれその出自や環境、経歴によって人格と言うものを形成するのと同じように、個々の意思や思惑が集まってあたかもひとつの人格かのような“国格”なるものを形成するのではないかと思っている。集団によって形成された世論が、各国の見方となり言動を左右していく、という仮説だ。しかし、世論形成が大衆文化によって構成されるとすれば、国家と言う単位があたかも個人の人格と同じような態度を示すことはあながち的外れでもないだろう。ここで注意が必要なことは、平均化された大衆の言動は、第一線で研ぎ澄まされた国際感覚など持ち合わせてはおらず、どの国家も例外なくその標準化点よりもいささか更に低いあたりであるということだ。
ここで必要な国際対話とは、あたかも立場も見解も大いに異なる人物を相手に、心理学的な手法を持ち込んで対話をしていかなければならないということだ。一方的な主張は一気に相手の心を身構えさせる。まずはお互いの立場の違いを明確にし、storyの押し付けをしないこと。そして押し売りを受け入れないことだ。your storyはmy storyではないのだから。
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