下に引いた記事で、産経新聞の阿比留記者が外務省について述べている部分が特に示唆深い。
果たして、「負け犬根性」を脱し、ファクトを挙げて戦おうとする外務官僚がどのくらいいるか。また彼らが果たして政治の庇護、支援をしっかり得られるのか、がポイントだろう。
《中央省庁の官僚は計算高く賢い。安倍晋三政権のような保守派の政権が長く続けば、「保守派でなければ偉くなれない」と考えるようになる》と阿比留氏は言う。
その通りだ。
ただ、安倍政権下でこれまで重用されてきた外務省幹部や外務省OB程度の「保守派」(すなわち、集団的自衛権などでは積極派だが、歴史問題では基本的に「負け犬根性」)で充分偉くなれると多くの官僚が考えるなら、事態の顕著な好転は望めない。
安倍政権内、与党内でも、果たして首相と同レベルの意識と意志を持った政治家がどれだけいるか。
自民党の「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」(委員長・中曽根弘文元外相)が、慰安婦問題に関する外務省のホームページ記述一つ改めさせられない現状を見ても、楽観は出来ない。
《産経 2015.10.4
■「歴史戦」講演会詳報
中国や韓国の反日宣伝活動に対し、日本がどう対処するかを考える講演会「今後、『歴史戦』をいかに戦うか」が1日、東京都千代田区の憲政記念館で開かれた。……
■阿比留瑠比氏
日本の外務省が無力なのは事実だ。その理由は、歴史問題を正しく語ることができ、反論でき、相手を納得させられるだけの知識と能力、意思を持った外交官の数が限られているからだ。この状況を変えていかなければいけない。
時間はかかるが、それほど難しいことではない。中央省庁の官僚は計算高く賢い。安倍晋三政権のような保守派の政権が長く続けば、「保守派でなければ偉くなれない」と考えるようになる。……
ある時、役人が私に愚痴を言ったことがある。「外務省はダメだといわれるが仕方がない。だって外務省は日本社会の縮図なのだから」と。どういう意味か問うと、「入省試験に信条・思想調査はない。日本社会と同じだけの(割合で)共産党員などが入ってくるんだよ」とのことだった。……
外務省も変わりつつある。ある外務省幹部はかつて「慰安婦問題ではすでに負けている。このままおとなしくしているほうがいい」と言っていた。負け犬根性だ。現在は「ちゃんと(歴史戦を)やろう」と主張する外交官が出てきた。……》