「当面、憲法9条の改正は考えないのが私たちの立場だ」?
派閥の長を務め、かつ外相の地位にある人としては、これは驚くべき発言だ。難しくとも改正を目指して努力する、が自民党の立場ではなかったのか。
岸田派(宏池会)はハト派を標榜するらしいが、考える力および意志もハト並みでは困る。河野洋平、加藤紘一といった先輩が築いてきた悪しき伝統をいつまで墨守するつもりか。
ところで、ハトは古来、伝書鳩として戦争に用いられてきた。敵味方を判別する能力もなく、自ら意識せずに戦争に奉仕する、がハトの特徴と言える。中国共産党が日本に求めるのも、まさにそうした「ハト」的政治家だ。
岸田氏の発言は、安保法制疲れの見える多くの与党政治家の意を迎えたものとも言える。が、先頭に立って若手を鼓舞する言動ができないなら、「次」を狙う資格はない。関連記事を引いておく。
《読売新聞 2015年10月06日
岸田外相「9条改正考えぬ」…ハト派の旗印に
自民党岸田派(宏池会)会長の岸田外相は5日、山梨県富士吉田市で開いた派閥研修会であいさつし、「当面、憲法9条の改正は考えないのが私たちの立場だ」と述べた。
次の自民党総裁選へ向け、9条堅持を「ハト派」としての旗印にする狙いがあるようだ。岸田氏は「ポスト安倍」候補の一人とされているが、派内からは「存在感を示せていない」(若手)などの不満が出ていた。
岸田氏は研修会で、池田勇人元首相が1957年に創設した宏池会は「保守本流」と強調。「リベラルの姿勢を大事にし、現行憲法に愛着を持つ基本姿勢を大事にしながら時代の変化に対応していく」と語った。》