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2016.02.02 (火) 印刷する

横田早紀江さんの議員の「表情」への注文 島田洋一(福井県立大学教授)

 1月28日、都内で《「再調査」から1年半‐全被害者を返せ!緊急集会》と題された北朝鮮による拉致問題に関するシンポジウム集会が開かれた。筆者も出席した。加藤勝信・拉致問題担当大臣はじめ古屋圭司、松原仁、中山恭子の3元拉致担当大臣、西村眞悟元拉致議連幹事長ら政治家や家族会の役員らも参加、報告や訴えを行った。
 その場での横田早紀江さんの発言に重要な一節があったが、見た限り報道されていないようなので、ここに紹介しておきたい。
 この集会を間違いなく北朝鮮も注目している、との司会の発言を受けたものである。
 早紀江さんは、国会で拉致問題が取り上げられている時の議員たちの表情に疑問を持つという。
「(この集会を北朝鮮が注目しているというなら)国会でのやり取りはもっと注目しているはず。しっかりとした表情を見せるべきではないのか」。
 確かに、拉致問題で質疑が行われている際、ぼうっとしたり、隣同士で談笑したり、心ここにあらずの体の議員が少なくない。
 テレビ中継が入る予算委員会などに限らず、今やすべての委員会審議が衆参両院のサイトでインターネット配信される。
 かつて平成9年2月3日、西村眞悟議員が横田めぐみさん事件について衆院予算委で初めて質問した際には、同僚議員(新進党)から、証拠があるのかといった趣旨の野次が飛んだ。北はその声に密かに安堵したろう。
 一方、今年1月12日、民主党(新進党の後継政党)の緒方林太郎議員が「安倍首相は拉致を使ってのし上がったのか」云々の質問を繰り返した際、同僚議員席から「もういいよ」程度の野次すら飛ばなかったのはどういうことなのか。岡田克也代表が緒方議員を譴責したという話も聞かない。
 自らの国会における振る舞いがいかなる対外メッセージとなっているか、その意識の希薄な議員たちに国会の「舞台」にいる資格はない。