衆院選は31日の投開票を目前に、各党の訴えが一段とヒートアップしているが、共産党の志位和夫委員長の外交・安全保障政策を聞いていると納得がいかないことが多い。
テレビの司会者が、拡張政策をとる中国に対してどう立ち向かうかについて問うと、志位氏は、国際法違反であると責め、国際世論に訴えて拡張を止めるべきだと答えている。
しかし、権威ある常設仲裁裁判所が、中国の南シナ海での埋め立てに関して国際法違反だと説得力のある裁定を下し、ほとんどの国が国際世論として中国の南シナ海での行動を非難しているにもかかわらず、中国は一向に拡張政策を止めようとしない。志位氏は、国際世論に訴えれば、中国は尖閣諸島への侵攻を断念すると本気で思っているのだろうか。
安保破棄、自衛隊解消を主張
民主党政権時代を挟む前後の約10年、日本は防衛費の伸び率を削減し続けた。しかし、中国はその間も一貫して国防費を毎年二桁の伸び率で増加させてきた。日本が防衛費を増強しようがしまいが、中国は一貫して軍拡路線を継続させている。
志位委員長は、日本と中国とでは国力と経済力が違うのだから「軍拡競争」をしても勝てないと言う。確かに1対1ではそうだろう。そこで、日米同盟によって対抗しようとしているのだ。
しかし、日本共産党は「日米安保破棄」が党の基本原則だ。それでどうやって我が国を守ろうとするのか。共産党は自衛隊も憲法違反だとして解消を主張している。「軍拡は中国の思う壺」と志位氏は言うが、日米同盟の破棄と自衛隊解消こそ、中国の思う壺ではないか。
力なき外交は相手にされない
「外交力で解決」と言う言葉は、日本共産党だけでなく、社会民主党の福島瑞穂党首や多くの左翼系メディアの解説者も口にする。都合の悪いことは全て「外交」というマジック・ボックスの中に放り込んでいるように思える。
外交は打ち出の小槌のように、無から有を生み出せるものではない。外交を有利に推進させるための両輪は軍事力と経済力である。力無き外交は無力に等しい。即ち、有効な外交力を確保するためには、軍事力である自衛隊がなければ相手にされないのだ。
日本共産党の外交・安全保障政策は余りにも非現実的であり、こんな党に任せたら日本は存立すら危うい。その日本共産党と協力して政権を取ろうとする立憲民主党にも日本の将来を任せることはできない。