公益財団法人 国家基本問題研究所
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原発をどうする

2011.09.21 (水) 印刷する

私が「原発継続派」をやめた理由 会員 金谷敏行

 6月の月例研究会『放射線被害の虚実』、9月の『原発抜きで日本は生き残れるか』を拝聴し、3.11以降、『原発をどうする』問題を考える一国民として、改めていくつかの論点からこの問題を考える機会を得た。
日本国民は、感情論に走る事なく事態を冷静に見極め、孫・子の将来に禍根を残さない『美しい日本』を守るための正しい判断を下さねばならない。
 私は安全保障の立場から原発継続派であったが、知事時代に原発を推進し現在は原発廃止を唱える佐藤栄佐久前福島県知事の話を伺い、原発即時廃止は極論であるが、環境・安全問題に鑑み、原発は30年とか50年という相当程度長い時間をかけ廃止すべきであるとの考えに至った。日本の経済的繁栄と国力維持の為には十分なエネルギー確保は必須であり、原発による安定的なエネルギー供給は必要不可欠である。しかし原発は次世代エネルギーが本格稼動するまでの幕間繋ぎであり、テロ対策も含めた十分な安全確保に努力を払い原発を継続しつつも、日本は高い技術を要する次世代エネルギーの開発に国家の精力を傾注すべきと考える。
 今回の研究会ではエネルギー安全保障問題は議論されなかったが、政府はこの問題を看過しており、国民は偶然にも化石燃料が安価で輸入されている幸運が永続しない事を自覚すべきである。原発事故対応の遅れ、風評被害は菅政権による人災であり、選んだ国民も反省し、この人災は日本国民の力で排除すべきである。