公益財団法人 国家基本問題研究所
https://jinf.jp/

原発をどうする

2011.09.26 (月) 印刷する

安全・安心な原発の開発が課題 会員 児玉朗

 かつて原子力発電を推進していた人が、福島第一原子力発電所での放射能災害を機に脱原発や原発否定に考え方を変えるのは、66年前の敗戦で「鬼畜米英」の軍国主義から平和主義へ突然言動を切り替えた人たちを思わせ、胡散臭(うさんくさ)さを感じざるを得ない。
 40年前、茨城県東海村の原発が稼働して以来、その技術は日進月歩と思いきや、さにあらず、現時点で50基余りあるものの、その8割が稼動停止状態だという。事故の発生がときどきメディアで伝えられたが、その対処はその場限りのものだったようである。原発に関わっていた人たちは40年間、原子力に関する新技術の開発や運用方式の改良に無関心だったのかと疑念がわく。
 日本を技術立国として自任するならば、本当の意味で安全・安心な原発の開発を改めて行い、不完全な原発の廃炉計画とともに、新たな原子力発電の構想を策定したらどうか。
 風力や太陽光などの自然エネルギーを利用した発電所は、放射能災害というリスク以外は基本的には原発と同じ問題を内包しており、その熱効率は原子力に比較してかなり劣っている。
 つまり、放射能漏れを防ぐ技術を確立し、漏れた場合の対策を確実に施すことが、原子力エネルギーを許容する側の課題と言える。