櫻井理事長は9月12日の月例研究会「原発抜きで日本は生き残れるか」の冒頭、原発の再稼働が認められない場合、来春には全原発が停止となるので、経済的、技術的、政治的かつ安全保障の面で日本は大丈夫なのか、とパネリスト3氏に意見を求めた。原子核工学の奈良林北大教授は、万一の場合の原子炉の汚染拡散抑制構造や冷却システムについて提案したが、既存の原発に関しては地震の破壊力に対する金属の弾性限界や耐震地盤強化策に一切触れなかった。黒木日エネ研常務理事は、原発の基数からみて日本は多過ぎたが、安全が確認されたものから再稼働に入るよう主張した。原発推進派の両者はいずれも、核廃棄物処理や何をもって安全とするかについては述べていない。
佐藤前福島県知事は、東京電力と国の度重なるごまかしや今回の原発事故を受けて、原発の恩恵を被るのは一世代のみで、世代間の共生ができないので、切実な実体験から原発を廃止すべきだと主張した。原発抜きとする場合、供給電力の減少による憂慮すべき事態は、①生産能力の萎縮、②雇用の喪失、③既存原発の管理(資材、人材)、④化石燃料の枯渇と代替エネルギー、⑤電力不足による不便と生活レベルの低下、⑥世界的な原発需要への対処、⑦核による国防、安全保障―などがあるが、3者は重要な安全保障に関しては触れていない。大震災に乗じた中国、ロシア、韓国による日本領土と資源の略奪、既成事実の積み上げを排除し、日本が生き残るためには、脱原発のソフトランディングと共に、北大西洋条約機構(NATO)加盟の欧州諸国と同様に米国の核ミサイルの国内配備を実施すべきだと考える。