公益財団法人 国家基本問題研究所
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原発をどうする

2011.10.04 (火) 印刷する

利便には犠牲を伴う 岩崎良二

 物事には全て陰陽があり、便益をもたらすものはその効用に比例して害悪ももたらすものである。この理(ことわり)は万古不易の理であり、我々が営む文明生活ももちろん例外ではない。モータリゼーションが年間1万人余の犠牲者を出し、もっと言えば資本主義は年間3万人余の自殺者を生み出している。
資源のない我が国が、効率的で大量のエネルギーを安定的に長期にわたり確保するためには、原発は外すことのできない選択肢である。再生可能エネルギーはエネルギー需要のピークを和らげる効果があるし、将来においては技術革新によりさらに効率的に生産できる可能性ももちろんある。だが、現時点においては基幹エネルギーとしての役割を担うことが不可能なのも事実だ。
扇情的なワイドショーによる議論ではなく、事実を冷静に踏まえ、利便性に伴う犠牲の許容について、大人の議論と合意の形成が必要である。