公益財団法人 国家基本問題研究所
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TPP

2011.11.18 (金) 印刷する

TPPに参加すべし  会員 北秀司

 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の参加、不参加をめぐり、与野党、団体、個人の意見が割れている。主張にはそれぞれ一理あるが、要は、この20年間閉塞した状況にある日本が経済、技術、知的文化という大いなる資産と武器(戦略)をもって、大いなる発展が期待される環太平洋地域において、日本の民主的なリーダーシップでお互いに利益を享受しようということである。また、その役割を担う資格が日本にあるということである。リスク無きところに大いなる成功はあり得ない。日本はTPP参加国全体の国内総生産(GDP)の3割を占める経済大国である。日本の公平な健康保険制度、その他の良い制度はむしろ宣伝流布すべきである。
 アジアの最大のリスクは、中国が軍事力を背景に政治、経済の両分野で支配国家になることである。そうなれば、中国と他のアジア諸国の関係はかってのソ連と東欧のようになりかねない。そうなってからでは米国も手を出せないし、米中の二極冷戦状況が生まれるかもしれない。その時、日本を含むアジア諸国は暗黒の時代を迎えるだろう。米国の意図も中国に対するけん制にあることは明白であろう。その辺のことは田久保忠衛国基研副理事長も論述されているし、国基研の会員であれば当然忖度(そんたく)しなければならない。日本が参加表明したことで、中国はあわてている。