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2011.11.18 (金) 印刷する

TPPは国益にかなうか 会員 原寿基

 環太平洋経済連携協定(TPP)の実質は、日本と米国の国益をかけたせめぎ合いである。しかし、その米国政府を相手に我が日本国政府はあまりにも稚拙で、またあまりに卑劣ではないか。
 国民に情報を開示しないばかりか、野田佳彦首相は「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と述べた。玉虫色の言葉で、世界には交渉参加を、党内反対派には交渉参加の事前準備だと印象づける。こんな姑息な外交で、日本の国益を守る毅然とした交渉ができるとは到底思えない。
 そもそも、政府・マスコミによって国民はTPPイコール農業問題であるように刷り込まれているが、農業はTPP24項目のうちの1項目でしかない。
 例えば、サービス・投資などについてはネガティブリスト方式(例外リストに入っていない品目はすべて関税が撤廃される方式)が採用されるといわれている。米国型システムの導入―それは訴訟社会であったり、自由な労働力の流入であったり、極端な株主偏重主義であったりする―が容易となることで、日本文化の「公」(おおやけ)の精神や、天皇陛下を中心とした家族国家としての文化が崩壊してしまうのではないかと危惧している。
 自由と自由がぶつかり合えば力の強い者が勝つ。極端な自由は極端な隷従に振れる。今こそ、日本国民は国家を意識し、日本の国益を、そして日本の在り方を考えなくてはならない。