ロブサン・センゲ中央チベット政権内閣主席大臣は1月13日、衆議院第1議員会館特別室で、国家基本問題研究所の櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員らと、現在進行しているチベットをめぐる様々な取り組みについて意見交換した。
ロブサン・センゲ氏は1968年に生まれ、デリー大学を卒業後、ハーバード大学で法学博士を取得し、2011年に中央チベット政権の政治最高指導者(シキョン)となったチベットの若きリーダーである。
センゲ氏は、チベット民族に対する中国政府の締め付けに対し、仏教文明の拡散というソフトパワーにより対抗することが、法王の示す平和的な中道のアプローチ、紛争解決につながるとの見解を示した。「中道」とは中国との対話を通して真の自治を求める、現状と独立の間にある政策のことで、仏教文明の浸透がその政策を後押しするという。
実に年間数百万という旅行者がチベットを訪問し仏教寺院を見学しチベットの文化に触れており、着実に人々の心の中に浸透しているとの現状が示された。一方、中国政府による締め付けはチベットのみならず、外国における活動にも及んでおり、近年はサイバー攻撃なども行われている実態が紹介された。
最後に、チベット民族自身の問題として、そのアイデンテティーをいかに維持するかが若い世代に必要であり、今後5年間で言語、文化、宗教、教育などに注力しつつ、50年という長期計画のもとに真の自治を得るため活動することを強調し、同時に同じ仏教国で、アジアの主要な大国である日本からの更なる支援を得たい旨求めた。
(文責 国基研)