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2016.10.21 (金) 印刷する

米国のエアーシー・バトル作戦構想の後退 用田和仁・元陸上自衛隊西部方面総監、元陸将

 用田和仁・元陸将は、10月21日、国家基本問題研究所の企画委員会で、ゲスト・スピーカーとしてアメリカのAir Sea Battle(ASB)として知られるA2/AD (接近阻止、領域拒否)作戦構想の変遷を中心に語り、企画委員と意見交換した。

16.10.21

ASB といわれる構想は、2010年に米国戦略予算評価センター(CSBA)がまとめ、発表したものだが、その後、中身が次第に後退してきた。用田・元陸将は昨年、陸海空将官OB5人で訪米、CSBAのほか米国防大学国家戦略研究所、同海軍大学など米側関係者と会談、後退を実感したという。具体的には、日中衝突の際には米空母など海軍主力は後方の第二列島線以遠に下がり、日本が前面に立たねばならない。

元陸将は、さらに2010年段階では、米国は核戦争にエスカレートする危険があっても、中国本土を叩くということが明記されていた。いつの間にか「中国」が消え、「敵」との表現に変わった。

問題は、日本側に米後退への意識が薄いという点。このため、元陸将は、(1)長期戦に耐えうる抗堪力、継戦力の構築 (2)日米共同の海軍打撃構想の実現 (3)中国の集中的なミサイル攻撃対処のため、既存のBMDに加え、電子戦・サイバー、マイクロウェーブ、レーザー等の早期日米共同開発 (4)予算大幅増による人員、装備等の増勢などの必要性を強調した。

(文責 国基研)