米ヴァンダービルト大学のジェームズ・アワー名誉教授は、11月18日、国家基本問題研究所において、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員に対し米国大統領選挙戦の結果などについて語り、意見交換した。ジェームズ・アワー名誉教授は当研究所の客員研究員で、今回来日した機会をとらえて来所したもの。
アワー名誉教授は、米海軍横須賀基地所属フリゲート艦の艦長を務めた元海軍軍人。米国防総省の日本部長としても活躍し、ヴァンダービルト大学(テネシー州)の日米研究センター所長を長年務め、海上自衛隊の創設から問題点までを研究した著書「よみがえる日本海軍」などがある。
アワー名誉教授は、まず今回の米大統領選でのトランプ氏勝利という結果を受けて、ある意味安堵したという。新聞各紙の論評はトランプ氏のいまだ見えざる政策に否定的な見解をとる一方、国際的ビジネスマンとしての豊富な経験と実務能力は、ある程度期待が持てるのではないかと述べた。確かに選挙戦中、トランプ氏は日本の駐留米軍経費に嚙みついて見せたりもしたが、実態を認識しないでの発言に真意はないだろうという。
TPPにしても同様で、ビジネスライクな発想でTPPが米国の中間層に受け入れられると判断すれば、フレキシブルに対応する可能性があるとする。いずれにしても、その政権運営手腕は未知数であり、既存の共和党保守層の取り込みや、議会運営などに失敗するリスクがあることにも言及。
最後に、アジア太平洋の安全保障環境の安定にとって、台湾の蔡英文(Tsai)、米国のトランプ(Trump)、日本の安倍(Abe)の“TTA”の連携構築が重要だ、と力説した。
(文責 国基研)