米国ヴァンダービルト大学のジェームズ・アワー名誉教授は、3月10日、国家基本問題研究所において、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員らと意見交換した。話題は、トランプ大統領の米国での人気や内外の政策などとともに、日本の防衛戦略にも及んだ。教授は当研究所の客員研究員で、今回来日した機会をとらえて来所した。
アワー教授はトランプ大統領について、自宅のあるテネシー州でも約6割の支持があり、決してクレイジーではないと評価されているという。また、戦術としてツイッターなどSNSを効果的に使う手法は、これまでにない斬新さがあり、これも米国市民に受け入れられる理由の一つとする。
トランプ政権に対し、これまでネガティブなイメージが先行してきたが、他方ポジティブなイメージもある。そのうち、大きく評価できるのは、日米同盟がより強固になることを確認したことだという。両国にとっての明確な脅威は中国と北朝鮮であるが、朝鮮半島の情勢は不確定要素が多く、リスクも高いと感じているとも。
また、対中国の問題で、第1列島線上にある南西諸島の攻防においては中国優位という。これに対し日本が統合防衛計画を策定する動きが本年1月に報じられたことを取り上げ、教授はこれを高く評価するとともに、日米双方の司令部を現地近傍に近接して設置すると同時に、この動きを加速すべきと主張した。
最後に、トランプ政権は現在、税、保険、安全保障などという難題に直面しているが、これらに上手に対処できれば、さらに人気を得ていく可能性があるのではないかと述べた。
(文責 国基研)