中国経済に詳しい大和総研主席研究員の齋藤尚登氏は、12月1日、国家基本問題研究所の定例の企画委員会におけるゲストスピーカーとして、「第19回党大会後の中国経済をどう見るのか?」と題して、中国経済の現状と今後の見通しなどについて語り、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員と意見交換した。
齋藤氏は、1990年山一證券経済研究所に入社、香港駐在を経て1998年大和総研に。2003年から7年間、北京駐在、2015年に主席研究員、経済調査部担当部長。
氏はまず、10月18日~24日にかけ開催された第19回共産党大会の成果を簡潔に表すと、習近平総書記による「新時代入り」の宣言ではないかとのこと。
その意図するところは、2020年までに小康(ややゆとりある)社会を完成する。これが新時代の第1段階の始まりで、2035年までに「社会主義現代化」を基本的に実現。その後第2段階として21世紀半ば(2049年が新中国成立100周年)までに「美しい社会主義現代化強国」を実現するというもの。人事面では習近平色を全面に出し、3期目続投を匂わせているという。
中国経済の動向として、今後5年~10年の間に経済失速(実質成長率が前年の半分程度になる)リスクを中国政府系シンクタンク及び日本の研究機関等が「ほとんどない」と回答していることを紹介。
あるとすれば、リーマンショック級のアジア金融危機や資産価格(不動産)の暴落などが端緒となるだろうという。いずれにしても、成長率は下降傾向にあるものの、バブル崩壊は当面回避されるであろうとのこと。
さて、中国市場の消費は底堅く農村部の小売が堅調であり、またEV市場も含め乗用車販売も悪くないとのこと。さらにネット販売が急拡大していることや、いまや小売店ではスマホ決済が常態化しており、施しにもスマホがいるなど、都市部では人民元を持ち歩かないことが普通という実態も併せて紹介した。
これからの中国経済を見ていく上で、注目点は多いという。
(文責 国基研)