国家基本問題研究所は、12月21日、台湾及び米国の研究者を招き、日米台交流会議を開催した。台湾側からは国防安全研究院の林彦宏博士と日本で研究活動をする経済学者・黄俊揚博士が、米側からはエルドリッヂ研究所のロバート・エルドリッヂ代表が参加した。
台湾とは昨年6月に日台交流会議を初開催後、相互訪問という形で継続実施しているが、米側を交えた会議は初開催。
今回は、最近の中国、米国、台湾、日本を巡る国際情勢の変化を概観し、これからの展望について意見交換した。企画調整を担当した太田企画委員の開催趣旨説明および招待者の紹介から会議はスタート。櫻井よしこ理事長は開会の挨拶で両国からの参加を歓迎し「日米台は運命を共にする側面が強いので、真摯に語り合い実りある会議に」と述べ、議論を促した。
まず発表の口火を切った台湾の黄博士によると、台湾中間選挙の結果は与党蔡英文政権に痛手となった。しかし独立派が減少したのではないという。ただ、スマホで台湾とうっても、国旗が表示されない現状を紹介し、国家承認の新しい形を模索する必要性にも言及した。さらに、海洋を舞台にした日米台の協力、たとえば西太平洋における海上保安や災害救難の協力などでの可能性にも触れ、日米との協力強化が必要だとした。
次にワーキングランチを挟んで、米側のロバート・エルドリッヂ博士から発表があった。博士は民間アメリカ人の立場から、台湾は国家であり中国の一部ではないと断言。日米が台湾を国家承認するのと引き換えに台湾は尖閣諸島の領有権主張を取り下げ、対中同盟を強固にすべきとの持論を展開した。
そして、日本側の湯浅国基研主任研究員は、台湾は中国からの経済・情報戦と軍事圧力に晒されていると指摘。中国は昨年「国家情報法」を施工し国民を情報活動に協力させることを義務付け情報戦の法的基盤を強化した。軍事的には、信頼できる試算では2025年には米国の国防費を追い抜くとの予測がある。「プロジェクト2049」によると2020年までに台湾侵攻の準備を終えるとし、ある研究者は台湾統一が2025年までにと予測するという。そのような中、日米は豪印などと共に多国間の協力枠組みを作り、台湾を守るべきと強調した。
最後に閉会にあたり田久保副理事長から、米国の台湾関係法を例に、日本は台湾基本法を作るべきとの認識を示し、今後も交流会議を継続する意義を強調し、会議を締め括った。
(文責国基研)