2月15日、国基研企画委員会は、ゲストスピーカーとして、九州電力相談役の貫正義氏を招き、「電気事業を巡る課題」などに関する勉強会を開催し、意見交換した。
まず、電力会社の厳しい収支・財務状況について詳細な資料をもとに説明。
電力会社間の電気料金値下げ競争により、料金価格が低レベルで抑えられてきたことに言及。また電気料金の国際比較を見ると、わが国は安い電源である原子力などを持つ米仏に比べ割高となっているとした。
平成23年の東日本大震災以降、電力各社は原子力再稼動に尽力してきたことにも触れた。原子力発電所の安全対策では、地震、津波、火山、竜巻、火災、テロ対策など、非常にハイレベルな基準に対応する努力を重ねてきたという。
他方、平成25年4月に閣議決定された電力システム改革は、電力の安定供給、電気料金の抑制、事業機会の拡大を目的として開始された。これには広域的な運営推進機関で電力の広域的融通を図ることや、小売りの全面自由化などがあげられる。
最後に、エネルギーの問題と絡めて、日本の貧困化にも焦点を当てた。人口一人当たりの名目GDPについて、2000年には日本は世界2位であったのだが、2017年では25位にまで順位を下げた。また実質賃金の低下により日本の労働者が先進国中で相対的に貧困化が進んでいる実態を指摘した。
貫氏は、福岡県出身。昭和43年、九州大学卒業後、九州電力入社、平成24年に代表取締役会長、平成30年から現職。
(文責国基研)