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2019.02.22 (金) 印刷する

「中国経済と米中ハイテク冷戦のゆくえ」 津上俊哉・津上工作室代表

 2月22日、国基研企画委員会は、ゲストスピーカーとして、現代中国研究家の津上俊哉氏を招き、「中国経済と米中ハイテク冷戦のゆくえ」という表題のもと、講義形式の発表ののち櫻井理事長をはじめ企画委員らと意見を交換した。
 津上氏によると、中国経済の現状については、減速というより失速の段階だという。中国側が提供する統計資料の信頼度には疑問があるものの、ある程度の指標にすることはできる。たとえばPMI(購買担当者景気指数)や間接税収の落ち込みが、それを裏付けると指摘。
 また、中国経済には新旧二つの経済が同居するという。一つは、ITやビッグデータなどのニューエコノミーで、二つ目は官製で重厚長大型のオールドエコノミーである。後者が退潮する中、前者の躍進から目が離せない。中国国内は、すでにQRコードを利用したスマホ決済が浸透し、新たな企業者に優しい事業環境が整備されているという。他方、デジタル・レーニン主義と言われるような個人情報のデジタル管理が、オーウェルの小説『1984年』を髣髴させる情報監視社会化に通じると懸念する声もある。
 前述のニューエコノミーが好調の一方、全体の経済は三重苦に直面している。すなわち、バブル期の過剰投資が負債残高を膨張させ、官高民低の政策が民営企業の不振を煽り、あるいは、米中貿易戦争が景気を押し下げるなどの負の影響をあげた。
 さて、米中貿易戦争でも話題になっているファーウェイに代表される5G次世代通信技術に対する各国の動向には注目すべきという。米国がファーウェイ製品締め出しを狙った動きに日豪は追随するが、最近の英独などは違った動きを見せている。自由貿易体制の中で、いつのまにか日米豪が孤立する可能性も排除できない。ここは、より慎重に対処する局面ではないかと指摘した。
 津上氏は1957年生まれ。1980年東京大学法学部卒業後、通商産業省に入省。中国日本大使館参事官、通商産業局北東アジア課長、経済産業研究所上席研究員を歴任。2004年、東亜キャピタル社長、2012年から津上工作室の代表を務め、日本国際問題研究所客員研究員の肩書を持ち、「本業、趣味とも中国屋」という現代中国研究家。著書に、『中国台頭』(サントリー学芸賞受賞)、『中国台頭の終焉』、『「米中経済戦争」の内実を読み解く』など多数。(文責国基研)

19.02.22