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2019.03.22 (金) 印刷する

「内憂外患の中国経済はどこへ行く~全人代を踏まえて~」 齋藤尚登・大和総研主席研究員

中国経済に詳しい大和総研主席研究員の齋藤尚登氏は、3月22日、国家基本問題研究所の定例企画委員会でゲストスピーカーとして、中国経済の現状と今後の見通しなどについて語り、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員らと意見を交換した。

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氏は、減速感が強まる2019年の中国経済を、「内憂外患」と表現した。すなわち、内憂とは、2019年3月の全人代における政府経済成長率目標が、6.0~6.5%に引き下げられ、当面はデレバレッジ(負債率引き下げ)よりもインフラ投資の回復を優先するが、負債率をさらに高めることは、逆に将来的な金融リスクを増大させることになるとのこと。他方、外患の方は、米中経済摩擦であり、追加関税に関する米中協議の期間が延長され安心材料というのは表面的で、この問題はハイテク覇権、軍事力覇権、基軸通貨などの問題にも関連する長期的な確執であると指摘する。

特に、中国の債務残高は金融危機や景気の急減速を招きかねない危険なレベルに達している。債務急増の主因の一つは、リーマンショックを受け2008年11月に発動された4兆元の景気対策である。さらに税制優遇で大型の国有企業に恩恵を集中させた結果、中小の民間製造業のPMI(購買担当者景気指数)が大幅に低下し、中国経済の先行き不透明感が醸成されている。

一方、米中貿易問題であるが、2018年10月4日のペンス副大統領演説が鋭く指摘したように、中国経済の成功は米国の投資によってもたらされたが、中国は関税、為替操作、技術移転、知財窃盗など貿易の自由・公正を侵害してきた。このような観点から、米国は貿易不均衡の是正に限らず、ハイテク面、軍事面での優位性を維持すべく、経済覇権争いが今後長期にわたり続くと見る。

習近平主席が欧州歴訪に旅立ち、一帯一路をめぐりイタリアとの覚書を締結するとの報道があるが、イタリアが一帯一路に無条件で参加すればG7として初となり、今後中国の動向を注視していく必要があるという。

齋藤氏は、1990年山一證券経済研究所に入社、香港駐在を経て1998年大和総研に加わり、2003年から7年間、北京駐在、2015年に主席研究員、経済調査部担当部長。

(文責 国基研)