月例研究会/令和3年8月3日/東京・内幸町イイノホール
危機感なき日本の正体 ― 菅政権への注文
8月3日の月例研究会は、コロナが猖獗を極めるなか、登壇者のうち二人はリモートで参加した。戦後76年が過ぎても、憲法改正はままならず、日米同盟に頼りきりの防衛と外交。対中国、エネルギー政策は如何? 会場は、菅政権への厳しい発言が相次いだ。ところが、ひと月後の9月3日、菅総理は突然「コロナ対策に専念する」と自民党総裁選への不出馬を表明した。国家像の提示なき政治への論難は、いつしかブーメランのように国民の側に帰って来る。菅政権への注文は、次期政権への注文でもある。
先崎 彰容(せんざき あきなか) 日本大学危機管理学部教授-昭和50年(1975年)東京都生まれ。東京大学文学部倫理学科卒。東北大学大学院博士課程を修了、フランス社会科学高等研究院に留学。現在、日本大学危機管理学部教授。専門は日本思想史。著書に『国家の尊厳』『ナショナリズムの復権』『違和感の正体』『未完の西郷隆盛』『バッシング論』など。 |
ジェイソン・モーガン 麗澤大学国際学部准教授-1977年アメリカ・ルイジアナ州生まれ。テネシー州立大学チャタヌーガ校で学士(歴史、国際学)、ハワイ大学で修士(アジア学、中国専攻)、ウイスコンシン州立大学で博士(日本史)を獲得。現在、麗澤大学国際学部准教授。モラロジー道徳教育財団、日本戦略研究フォーラム、歴史認識問題研究会で研究員を務める。ジャパン・フォワードの編集者。著書は『日本国憲法は日本人の恥である』『アメリカン・バカデミズム』『歴史バカの壁』など。 |
有元 隆志(ありもと たかし) 月刊「正論」発行人-昭和40年(1965年)神奈川県生まれ。学習院大学法学部卒業、昭和64年産経新聞社入社。ワシントン特派員、政治部次長、編集局副編集長、政治部長を歴任。現在、産経新聞正論調査室長に加え、フジサンケイグループの理論的支柱である月刊誌『正論』の発行人を務める。主な著書に『歴史戦』『日本共産党研究』(産経新聞出版、共著)など。 |
櫻井 よしこ(さくらい よしこ) 国家基本問題研究所理事長-ハワイ大学卒業(アジア史専攻)。クリスチャン・サイエンス・モニター紙東京支局員、日本テレビのニュースキャスターなどを経て、フリージャーナリスト。平成19年(2007年)に国家基本問題研究所を設立し、理事長に就任。大宅壮一ノンフィクション賞、菊池寛賞、フジサンケイグループの正論大賞を受賞。「21世紀の日本と憲法」有識者懇談会(通称、民間憲法臨調)の代表を務めている。著書は『赤い日本』『言語道断』『親中派の嘘』『一刀両断』『愛国者たちへ 論戦2018-2019』『問答無用』『韓国壊乱 文在寅政権に何が起きているのか』『朝日リスク 暴走する報道権力が民主主義を壊す』など多数。 |
櫻井よしこ 皆さま、こんにちは。ただいまより、国家基本問題研究所の月例研究会を始めます。本来ですと、このイイノホールに、多くの方々をお迎えして開催するのですが、コロナが変異して感染力が強いということで、今回もまた“無観客”で始めさせていただきます。テーマは、「危機感なき日本の正体―菅政権への注文―」と題しました。戦後七十六年が過ぎまして、世界は大きく変わっています。わが国は、憲法を与えられて、国家とはいえないような中途半端な状況で、この四分の三世紀を過ごしてきました。日本は、真の意味での国家たりうるのか。憲法改正はできるのか。憲法改正につながるための意識改革をここでやりとげることができるのか。誰がそれをリードするのか。それは政治の責任ではないかと思いますが、その政治は目覚めているのか。そのような数々の多くの疑問を胸に抱いて、今日のこのセミナーを開催したいと思います。今日、議論をしてくださる論者の皆さまがたをご紹介いたします。
まず、この会場にいらしてくださっているのは、先崎彰容さんです。先崎さんは、日本大学危機管理学部の教授をしておられます。専門は、日本の思想史です。著書には、『国家の尊厳』『ナショナリズムの復権』『違和感の正体』『未完の西郷隆盛』など、多数あります。今日は、どうぞよろしくお願いします。
おふたり、リモートで参加してくださっています方をご紹介いたします。
おひとりは、麗澤大学国際学部准教授のジェイソン・モーガンさんです。モーガンさんは、歴史認識問題研究会の会員もつとめておいでです。ご著書には『日本国憲法は日本人の恥である』『アメリカン・バカデミズム』など、たくさんございます。モーガンさん、どうぞ今日はよろしくお願いいたします。
そして、もうおひとり、有元隆志さんです。フジサンケイグループの理論的支柱である月刊『正論』の発行人をつとめられています。『歴史戦』『日本共産党研究』などの著作があります。有元さん、どうぞよろしくお願いいたします。
これから、このお三方との熱い議論を二時間あまりにわたってお届けしたいと思います。では、この『危機感なき日本の正体―菅政権への注文―』ということを念頭に、まずモーガンさんから約十五分間、基調講演をなさっていただけたらと思います・・・