公益財団法人 国家基本問題研究所
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2022.09.30 (金) 印刷する

第6回 日台交流会議開催

9月30日午後、国基研(JINF)は、台湾安保協会との第6回日台対話を国基研で行った。台湾からは、台湾安保協会副秘書長兼国防安全研究院(日本の防衛研究所に相当)の准研究員である林彦宏博士と、国防安全研究院准研究員の翟文中元海軍大佐が参加した。

まず日本側から岩田評議員が、彼が計画・実施し、政治家・官僚をプレーヤーとして8月上旬に都内で行った台湾有事シミュレーションの概要を発表して質疑応答を行い、次いで林副秘書長がナンシー・ペロシ米下院議長訪台後に人民解放軍が行った軍事演習に関して発表、質疑応答を行った。この中で台湾側が認識している中国の台湾侵攻シナリオについて①全面侵攻②海上封鎖③金門・馬祖島のような離島奪取が披露され、①は未だ強襲上陸艦が不足している②は早期に台湾国民の意思を屈服させなければならない③は台湾統一の目的不達成との問題があるとのことであった。さらに人民解放軍の統合運用については習近平政権下で米国を真似ているが依然として陸軍的発想であることを指摘していた。

その後の自由討議では、翟文中元海軍大佐は中国核政策の専門家であることから、日本側の質問が本件に集中した。彼は、中国がこれまで採ってきた核政策である①最低限抑止②先制不使用③非核国に対して核攻撃は行わないが変化しつつあるとしつつも、中国の核戦力については主として米国が情報源であることから、過大評価されがちである事を強調していたのが印象的であった。

今回の使用言語は日本語であったが、日本語を解さない翟文中元海軍大佐のために、前半は林副秘書長が、後半は台湾から一時帰国していた矢板明夫産経新聞台北支局長が行い、活発な議論が展開された。