11月1日(金)、国基研企画委員会は、民間会社として青森県六ケ所村の再処理工場を運営する日本原燃担当者から再処理工場の審査状況に関するブリーフィングを聞き、意見交換を実施した。
【概要】
青森県六ケ所村に所在する日本原燃は、核燃料サイクルの商業利用を目的に1992年に設立された。わが国の核燃サイクルの発展の歴史と、新規制基準の適合性審査による27回目の竣工延期という現状について説明する。
原子力開発競争の時代
世界の原子力開発競争は速いピッチで進んだ。1938年に初めて核分裂が発見され、その4年後には世界初の原子炉が臨界に達し、6年後には再処理工場が稼働し、7年後には原爆が完成する。それから6年で発電炉が完成し、日本も1966年には商業用原発(東海第一)が営業運転を始めた。
わが国の全ての大手電力会社では合計57基の発電炉を保有するまでになったが、2011年の福島第一原発事故(福一事故)後、稼働可能軽水炉は33基に減少した。
原子力エネルギーはリサイクル利用が可能
さて、天然ウランにはウラン235とウラン238がある。そのうち99%以上がウラン238であり、これをプルトニウムに変えて使うと、採掘して利用できる年数は数千年となり、実質的にエネルギー資源の制約から解放される。
原子力発電で使い終えた燃料(使用済燃料)の中から、ウランやプルトニウムといった燃料として再利用可能な物質を取り出し(再処理)、この取り出した物質を混ぜ合わせてMOX燃料と呼ばれる燃料に加工して、もう一度発電に利用することを、核燃料サイクルという。
その核燃料サイクルを完成させる上で不可欠なのが再処理工場である。
わが国の再処理計画
わが国は1956年に原子力利用長期基本計画を立て、再処理方針を進め、当初は1971年に東海再処理工場が着工し、1981年に本格運転を開始した。その後、1993年に民営の六ケ所再処理工場が着工し、2006年にアクティブ試験(操業前の最終試験)を開始するまでになった。
しかし2011年に福一事故が発生したことで、2012年に原子力規制委員会が発足し、発電用原子炉に関する新規制基準が制定された。各電力会社は先行プラントを選定して適合性審査を申請したが、許可が取得できるまで全体の稼働率が低下するという状況となった。
再処理工場の竣工に向けて
新規制基準における適合性審査には設置許可の審査や工事計画の審査があり、2013年には核燃料施設に関する新規制基準が制定された。2014年に六ケ所再処理工場も事業変更許可申請(設置の許可申請)し、6年後の2020年に許可を得た。その後、設工認申請(設計及び工事計画の認可申請)を行い、規制委から指摘される都度、審査資料の提出を繰り返し、いまだ認可に至ってないが、2026年度の竣工を目指している。
今回の設工認審査期間の延長の原因は、耐震設計の最新地盤モデルの活用が不十分であったこと、建屋の構造健全性を再評価すること、構造設計の基準適合性を規制側と合意できないものが確認されたためである。
今後は、最新データを使い、竜巻防護対策、火災検知器、重大事故対策の追加工事に努め、安全対策に万全を期して、一日も早い再処理工場竣工を目指したい。