公益財団法人 国家基本問題研究所
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2012.06.26 (火) 印刷する

「尖閣守る強い意志示せ」 ジム・アワー 米ヴァンダービルト大教授

 米ヴァンダービルト大学(テネシー州)教授で、元米国防総省日本部長のジム・アワー教授は6月15日、日本外国特派員クラブで、日米関係と安全保障問題全般について語り、国家基本問題研究所の企画委員と意見交換を行った。主な発言要旨は以下の通り。(通常は国基研事務所で行う企画委員会だが、新事務所への引っ越し準備のため外国特派員クラブで開かれた)

尖閣問題について
 一般的に言えることだが、領有権を主張する場合、領有権を継続的に守っていく意思を示さなければならない。例えば、人を住まわせなければ、真剣ではない、と受け取られるだろう。昨日も国会議員の方々と話したのだが、弱さを見せると、侵略を受ける可能性が高まるだろう。間違ってやり過ぎたとしても、それはあまり危険ではない。国家安全保障にとって、”やり過ぎ”より”やらな過ぎ”の方がずっと危険なのだ。
 尖閣諸島について、アメリカは日米安保条約上の義務を履行するものと信じているが、日本がまずリーダーとなり、アメリカが支援するという形が望ましい。それが役割の分担である。

台湾海峡危機に学ぶ
 昨日、自民党の国会議員と会った際、「尖閣諸島を守る有効な手立てを講じたら中国が怒るのではないか?」との質問を受けた。「もちろん彼らは批判するが、彼らは尊重もするだろう」「何もしなければ確かに彼らは賞賛するが、敬意を表することもしない」というのが私の答えです。
 こうした話になると、私はいつも1996年の台湾危機のケースを紹介するのです。台湾総統選挙で李登輝氏が優勢と伝えられると、中国軍は台湾沖に向けてミサイルを発射するなどの威嚇を行った。しかし、アメリカ側が空母インデペンデンス、さらにキティホークまで台湾近海に派遣すると、中国軍の威嚇行為はストップ、選挙は無事終了した、のです。
 中国も旧ソ連も力を信泰しています。それ故に、中国の尊敬を勝ち得たいと思うのならば、我々は自らの原則、特に基本を放棄してはダメです。主権ほど基本的なことはないでしょう。

 その他、アワー教授は、 1)中国軍の台湾進攻の可能性について、日米同盟が信頼出来る限り、中国政府は人民解放軍にOKサインを出さないだろう 2)アメリカの海軍力の60%をアジア・太平洋地域に振り向けるというオバマ大統領の新戦略だが、国防費全体の削減を考えると、現在同地域に割り当てられている50%と実質的に変わらない。数字のマジックだ 3)アメリカは日本がより大きな同盟上の役割を果たすことを望んでおり、日本の軍国主義復活などの馬鹿げたことをいうのはキッシンジャー氏(元国務長官)やニューヨーク・タイムズ紙ぐらいだろう、などと述べた。

(文責 国基研)