2016年 8月の記事一覧
「お言葉」と「女系天皇」を結び付ける策謀許すな 百地章(日本大学教授)
●女性天皇容認の二階発言 自民党の二階俊博幹事長が、8月25日に収録されたBS朝日の番組「激論!クロスファイア」の中で「女性天皇容認」の発言をしたと報道されている。それによれば、二階氏は質問に答えて、「女性尊重の時代に天皇陛下だけそうはならないというのはおかしい。時代遅れだ」と女性天皇を容認したとある。また、その後、記者団に「諸外国でもトップが女性である国もいくつかある。何の問題も生じていな...
尖閣を海洋研究拠点とし中国の野望挫け 山田吉彦(東海大学教授)
中国の東シナ海侵出が危険レベルまで達している。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域に300隻ほどの漁船団が押し寄せ、漁船団を警固するように15隻もの中国公船が日本の管轄海域に侵入した。その勢力は、海上保安庁の尖閣諸島専従部隊の12隻相当体制を上回っている。 中国は、南シナ海でフィリピンからミスチーフ礁、スカボロー礁を奪った時にも、まず先に漁船団を送り込んできた。そして、漁民の保護を名目に軍艦や警...
将来戦を様変わりさせるレールガン 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
産経新聞8月22日付朝刊の一面トップに、「レールガン独自開発」の記事が出ていた。電磁気による加速で発射するレールガンや、レーザー等を利用した指向性兵器は将来の革新的技術になりうる。 レールガンに関しては、米海軍が1〜3番艦を太平洋艦隊に配備を予定している最新鋭ミサイル駆逐艦「ズムウォルト級」で、高度砲システムの次の段階で搭載を予定している。今年、邦訳版が出た米中戦争を描く『中国軍を駆逐せよ!...
「異次元の構造改革」こそ喫緊の課題だ 大岩雄次郎(東京国際大学教授)
当初、「三本の矢」を掲げたアベノミクスは、もはや金融緩和政策の戦術論に変質しているといっても過言ではない。量的・質的金融緩和(QQE)政策は、消費者物価2%増(対前年比)を2年以内に達成、マネタリーベースは2年間で2倍、を目標としたが、達成されたのは後者だけで、明らかに機能不全といえる。 岩田規久男日銀副総裁は、「予想インフレ率が上昇するのは、マネタリーベースの量を大幅に増やし続ければ、将来...
HP改善の次は国連への慰安婦再調査要求だ 西岡力(東京基督教大学教授)
私たちはこの間「安倍政権下でも外務省は歴史問題での国際広報に真剣に取り組んでいない。その一番の証拠は、外務省のホームページ(HP)の歴史コーナーで、慰安婦問題で世界に広がる誹謗中傷、性奴隷20万人強制連行説への反論が掲載されていないことだ」と主張してきた。外務省関係者にはもちろん、政権中枢にも様々な機会に繰り返しそのことを伝えてきた。 そして、ついに外務省が重い腰を上げた。HPの「歴史関連」...
中国が対日兵力差5倍を目指す不気味 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
米国防総省が5月に発表した中国に関する年次報告書によれば、2015年の日本の防衛費は408億ドルだったのに対し、中国は外国からの兵器購入や研究開発費は含まれていない公表値で1140億ドルと約3倍だった。これが2020年の見通しになると、日本は殆ど伸びないのに対して、中国は毎年約7%の伸びで2600億ドルとなり、日本の5倍以上になる。 何故5倍という数が重要なのか? それは、人民解放軍が忠...
紛争の尖兵担う海上民兵の恐ろしさ 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
先週は尖閣諸島周辺に約300隻の中国漁船が集結、そのうち2桁の漁船が領海内に侵入した。これら漁船の多くに、定期的に軍事訓練を受けている海上民兵が乗り組んでいることは間違いない。その海上民兵の恐ろしさについて、日本国内では余り認識が進んでいないように思われる。 過去、中国の海上民兵が紛争の尖兵となった事例が多い。まず1974年にベトナムからパラセル(西沙)諸島を奪取した海戦、次に1978年尖閣...
新防衛相は粛々と靖国神社を公式参拝せよ 島田洋一(福井県立大学教授)
日本の閣僚の靖国神社参拝に関しては、日中間に「非公式了解」なるものが存在すると囁かれてきた。それどころか、いまでは中国側において、公然と存在を示唆する発言も出ている。例えば中国共産党の対外スポークスマン役も担う劉江永清華大学教授は次のように述べている。 劉氏の発言をそのまま引用すると以下のようなものだ。 《(1985年に中曽根首相が公式参拝した)その後の交渉の末、86年から日本との間で暗...
北のミサイルには常時即応態勢が必要だ 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
8月3日、北朝鮮は弾道ミサイルを発射し、うち1発が日本の排他的経済水域である秋田沖に着弾した。今回の発射は、発射台からの発射ではなく、輸送起立発射機(TEL、16輪のTELは中国が北朝鮮に輸出)から発射されたためか、事前の兆候察知ができなかった模様である。 また北朝鮮は、これまでの液体燃料から即応性に優れた固体燃料の弾道ミサイル、トクサを開発しており、益々事前の兆候察知は難しくなる。さらに5...
小池新知事の「都民ファースト」に違和感 冨山泰(国際問題研究者)
新しく都知事に就任した小池百合子氏については、日本の政治家には珍しい国際派として、かねて期待し、尊敬していた。しかし、小池新知事が盛んに口にする「都民ファースト」という標語には違和感を覚える。米国で物議を醸している共和党大統領候補ドナルド・トランプ氏の「アメリカ・ファースト」から借用したように思えるからだ。 小池氏は、当選直後の記者会見で「都民ファースト」を連発しただけではない。東京都庁のウ...
都知事選結果と「民共共闘」のゆくえ 梅澤昇平(元尚美学園大学教授)
東京都知事選は、元防衛相の小池百合子氏が圧勝し、野党統一「民共共闘」の候補が次点にも届かなかった。これをどう読むか。 ここでは、参議院選挙からはじまった「民共共闘」の行方について考えてみたい。 共産党は、戦前戦後一貫して「統一戦線」を模索してきた。なんども社会党に呼びかけ、振られ続けてきた歴史といえる。この戦術は共産主義政党による国際組織であるコミンテルンの指令に基づくもの。フランス人民...