世界ウィグル会議議長のラビア・カーディル女史は10月16日、国家基本問題研究所において、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員と「世界ウィグル会議の取り組みの現状」について意見交換した。
同議長は、新彊ウィグル自治区の実業家であったが、民族問題などで政権批判を行ったことで投獄され、2005年に米国に亡命した後、世界ウィグル会議の議長に選出され今日にいたっている。
ウィグルの現状として、同議長が強調するには、中国政府による人権弾圧の様相は習近平政権以降、より厳しい対応がとられているとのこと。2009年7月に発生したウルムチでの騒乱では、世界ウィグル会議発表では数千人が殺害(中国側発表は192人)された模様である。それはデモに対する弾圧という形式であったが、2014年7月のヤルカンドの事件については、ラマダン最後の夜に成人男子がお祈りで不在中に、家に残っている家族を殺害し、翌日その抗議に出た村人を殺害し、近隣の町村に対しては無人機で殺戮するという徹底ぶり(中国側説明はテロ対策)であったと訴えた。
また、ウィグルの若い女性に対しては、職を与えるという名目で強制的に中国へ連れて行き、反対に大量の漢民族をウィグルに送り込んでいる実態を紹介した。これに対し、西側諸国は反対の声を上げているが、日本政府の反応がにぶいとの指摘があった。さらに、中国政府はISの問題を利用してウィグルを弾圧する口実にしていることもあわせて訴えた。そして日本政府に対しては、在日ウィグル人の難民認定が必要であることを強調した。(文責・国基研)