韓国の金錫友・元統一部次官および大使経験者ら元外交官42名が1月15日付で、文在寅政権の対米、対日外交を批判する緊急声明を発表した。「伝統友好国との危篤状態の外交安保懸案を至急に解決しなければならない-韓・米・日の安保協力体制を早く復元せよ」と題した声明は、戦時労働者問題での大法院判決を批判し、補償は韓国政府が行えと主張している。以下はその全訳である。
1 駐韓米軍防衛費分担金引き上げ
最近、ある韓国外交部の前長官が言論とのインタビューで明らかにしたように、わが政府はアメリカとの駐韓米軍防衛費交渉でもう少し融通性を発揮して、より大きな寄与をすることによって、それに相応する以上にアメリカからより多くの肯定的な効果を引き出す方案を推進することが賢明な方案と考えられる。
この間、韓国の左派政府と北朝鮮追従者らは米国産牛肉の狂牛病虚偽報道、米軍基地による環境破壊問題での針小棒大な主張、サード配置時の曖昧な態度など、さまざまな形態の反米行動で韓米同盟を瓦解させようと努力してきた。
文在寅大統領は金正恩との仲裁外交を自任し、国連総会、ASEM、アセアン+3、APEC、G20など世界の主要舞台で、金正恩が非核化の意志を見せているから全世界が制裁緩和で回答しなければならないといって数多くの指導者らと交渉を展開したが何の成果がなかった。
現状で判断してみれば、金正恩に非核化の意志が全くないという事実が明らかになっており、結局、わが政府はトランプ大統領に虚偽情報を伝達したという結論になるようだ。
アメリカの朝野では、多数の韓国国民がこのような数多くの事例を見ても手をこまねいているとする否定的な見解が出ており、最近アメリカの一部では駐韓米軍撤収の可能性まで台頭し始めた。
金一族の3代世襲独裁体制の念願である赤化統一のために虎視眈眈と南侵を狙う北朝鮮の凶計にもかかわらず、わが政府は自ら安保体制と備えを崩している。このような極めて危険な状況を、無辜の国民が強いられている有り様だ。
北朝鮮の南侵時、弾薬、武器および部品などの軍需品備蓄量が充分でない場合、我が国の長期継戦能力は非常に制限される。だから、米国と日本の持続的な支援が必須であり、韓・米・日共助体制を崩すことは我が国の安保体制の支柱を破壊する行為にほかならない。
このような危機状況の下で私たち自らが、米軍に「出て行くなら出て行け」というような極度に無謀な虚勢を張れるのか。
世界有数の工業国として我が国が「投資適格」という信用を維持し、1兆ドル程度の貿易規模を誇ることができるのは、韓米同盟によって安保上危険がないという前題があってはじめて可能だ。
国際社会は、北朝鮮の核兵器保有によって北朝鮮の南侵時にアメリカの支援なしでは韓国は大きい難関に直面するという見解を有している。もし韓米同盟の将来が不確かだという兆候が濃厚になれば、あっという間に私たちの経済が回復不能状態に陥るという事実は疑問の余地がない。
このような状況でわが政府がアメリカとの防衛費交渉で予算を削減するという口実で国民をごまかしながら韓米同盟に致命的な亀裂をもたらすならば、これは韓国の対外依存型経済体制が破綻するなど死活をかける賭博をすることになる。
2 日本との関係
現在の韓国司法府は1965年の韓日国交正常化以後、日本との補償問題に関して維持してきた私たちの確立された慣例に対して不必要な国際的物議を醸しており、これにより近い将来、国際社会が韓国を準不良国家と見なすようになる可能性がある。
現政権は、長きにわたり確立された慣例のとおりに、韓・日間の請求権問題は1965年協定で最終的に完結したことを再確認して、一部の不十分な個人請求権問題は「我が国政府が自ら解決する」という既存の立場に立って処理しなければならないのだ。
この問題を国際仲裁や国際司法裁判所(ICJ)に回付する場合、これまで既に表明してきた我が国政府の立場と慣例などに照らして、一貫性が欠如した行動をしている韓国が勝訴する可能性は小さい。
韓国の平和的解決を拒否する姿勢を口実として、日本が経済的方法など他の物理的な解決策を模索しようとして、これをアメリカなど友好国が容認をしたり暗黙的な態度を取ったりすることになれば、私たちが日本に屈従的な態度を取るほかないという恥辱を自ら招来することになるかもしれない。
3 韓米日協力体制の持続と国民的覚醒の要望
前例のない韓国の外交安保危機状況で、我が国の国政責任者と外交安保当局者に伝統的な韓・米・日安保協力体制復元のために至急に現実的な収拾策を用意することを求め、我が国国民もこのような外交安保状況に対する危機感と緊急性を切実に感じて覚醒することを要望する。
(署名者: 金錫友・元統一部次官、趙源一・元ベトナム大使、李仁浩・元ロシア大使、金ジョンロク・元ザイール大使、辺スングク・元ポルトガル大使、徐コニ・元ウズベキスタン大使、李ソクジョ元ブルガリア大使、宋ジョンファン・元パキスタン大使、鄭淳奭元エチオピア大使、洪承睦・元ネパール大使、金チュンギョン・元新潟総領事、チョン・ドンイル、ド・ヨンソク・元ケニア公使ら42名)