櫻の季節となり、そわそわと気忙しい中、国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)は、3月27日、通算7回目となる名古屋での講演会を、名鉄グランドホテルにて開催した。
今回の講師は国基研主任研究員の湯浅博氏で、約1時間半の講話に続き30分の質疑応答という時程で進行した。湯浅氏は現在、国基研の理事でもあり、初の名古屋訪問ということもあり、気合十分での講話となった。
「米中覇権争いと日本の気概 ― 世界はパクスシニカに耐えられるか ―」と題する講話では、産経新聞紙上にコラム『世界読解』を執筆する講師のグローバルかつ客観的な議論が展開された。
まず、「一帯一路」を推し進める中国がG7の一角イタリアに進出し、トリエステを抑えようとしている。これはまさに、フルトンでの鉄のカーテン演説を想起させる、という語り出しで、一気に聴衆を惹き付けた。その後、昨年10月のペンス副大統領の演説をはじめ、習近平主席による21文字方針などの具体的な事例をもとに議論を展開。とくに、5G(第5世代移動通信システム)技術の独占を狙う中国に米国が対抗する状況をデジタル冷戦と表現、その背景には「中国の夢」実現という目標があるという。
当日は約100名の気概ある諸氏が来場し、講師の話に食い入るように聞き入っていたのが印象的であった。国基研は、今後もこのような機会を設け、活動の範囲を広げていく所存である。(了)