公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

2019.10.24 (木) 印刷する

出生率高め持続可能な地域づくり 中山義隆(石垣市長)

 石垣市は東京から1952km、沖縄本島からは411km南西にあり、日本列島の最南端に位置する八重山諸島の中心にある。亜熱帯海洋性気候に属し、年平均気温は24.3度、湿度は77%と高温多湿だが、「詩の邦 歌の島 踊りの里」といわれる格調高い伝統文化を誇る。沖縄文化の中でも優れて独立性の高い、民俗行事、古謡、節歌、民俗舞踊、歌謡音曲等を有している。
 中心は観光産業だが、6年前の新空港オープン、大型クルーズ船の寄港地としての整備推進が功を奏し、年間の観光客数は平成29年には約138万人と過去最高を更新した。人口減対策は地方に共通した重要な課題だが、本市の場合、9月末現在で人口は49,712人。前年同月比で273人増とわずかではあるが増加の傾向にある。それは、社会増減の変動を、自然増でカバーしているからだ。

 ●保育士は自前で養成も
 本市では平成28年3月に、2060年までの中長期的展望を「石垣市人口ビジョン」として策定し、同ビジョンを基に「石垣市総合戦略」をまとめ、さらなる人口増に向けた施策づくりに取り組んでいる。
 基本目標の一つが「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」である。市民アンケート調査で示された希望出生率2.47人を実現できるよう、①待機児童の解消②子育て家庭の多様なニーズに応じた支援の充実③若い世代の出会いの場の創出―に努めている。
 ①と②については、保育施設の整備はもちろん、保育士確保に力を入れている。保育士等の資格取得を目的とした「保育士養成校石垣集団学習会場」の設置事業に取り組み、事業者への補助や入学者への学費等の補助も行っている。
 島内には高等専門学校以上の教育機関がないことから、高校卒業後は大部分の生徒が島外へ転出し、人口減の大きな要因となってきた。本事業は、離島地域で困難となっている新たな保育士確保に寄与するとともに、若者の島外転出の抑制、人材育成、所得向上に繋がっていると自負している。
 また、島内のみでは、保育士の人材確保が困難な状況から、島外からの保育士確保にも力を入れている。本市の認可保育施設等を巡る「保育所見学ツアー」を開催して実情を直接見てもらうとともに、必要に応じて渡航費等の補助も行っている。
 保育士を確保し待機児童の解消を進めることで、お母さんたちが安心して働ける環境づくりを目指している。

 ●行政が率先して婚活ツアー
 ③については、市民アンケートで独身男女の8割が「異性と出会う機会が少ない」と回答している現状から、「リゾート婚活ツアー事業」などを展開している。
 具体的には、石垣島への移住希望がある大都市圏の未婚の男女を対象にした婚活ツアーを催したり、テレビの出会い系番組の制作を働きかけたりすることによって、本市の魅力発信や移住、結婚定住の促進に努めている。
 出生率の向上を図る上で重要なのは、出会いの場の創出に止まらず、順調な交際を経て結婚し、更に島内で将来の家族像まで描けるよう支援していくことだと考えている。
 本市の最大の強みは、観光資源に恵まれていることだ。観光産業を起点に様々な産業が連鎖的に発展する好循環につなげられれば労働所得も向上する。加えて、待機児童の解消や放課後児童の居場所づくりなど子育てしやすい環境を整えることで、出生率は更に高まっていくだろうし、持続可能な地域づくりに繋がると考えている。
 石垣市が持つポテンシャルは非常に高く「日本一幸せあふれるまち石垣市」の実現に向けて、恵まれた資源を存分に活用していきたい。