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国基研ろんだん

2021.02.01 (月) 印刷する

米台関係、まずまずの滑り出し 矢板明夫(産経新聞台北支局長)

 台湾の駐米大使に相当する蕭美琴・駐米台北経済文化代表処代表は1月29日、米国のシンクタンク「外交政策研究所」(FPRI)などが主催したオンラインシンポジウムに出席し、バイデン政権下の米台関係について「良いスタートを切った」と強調した。

中国と対決姿勢を貫いたトランプ前政権と「史上最も良好な米台関係」を築いたとされる台湾の蔡英文政権だが、1月20日に発足したバイデン政権と引き続き良い関係を構築できるかどうかについて世界中から注目されていた。

駐米代表招待は「歴史的快挙」

䔥氏は、バイデン政権も「台湾を重視している」と述べ、その具体例として、自身がバイデン大統領の就任式に招待されたことや、ブリンケン国務長官、オースティン国防長官ら政府要人が相次いで台湾支持を表明したことなどを挙げた。

特に、䔥氏が台湾の外交官として米大統領就任式に出席したことは、1979年の米台断交以来、初めてのことであり、中国が米国に求める「一つの中国政策」を事実上否定する大きな意味があった。

台湾メディアは「歴史的な快挙」「外交上の大勝利」などと大きく取り上げた。台湾の外交関係者は「厳密に言うと、䔥氏を招待したのは、超党派の米議会議員で構成する大統領就任式実行委員会であり、米議会の意向だが、バイデン政権は招待に反対しなかったことが大きい」と指摘した。

䔥氏の就任式出席について、中国外務省は直ちに反発した。華春瑩・報道局長は「米国と台湾のいかなる公的往来にわれわれは断固反対する。中国の主権を損なえば必ず反撃する」と米国に抗議した。

その3日後の1月23日、中国軍の爆撃機8機、戦闘機4機、哨戒機1機、計13機が台湾西南空域の防空識別圏に相次いで侵入した。中国による報復行為の一環だと指摘されたが、米国務省のプライス報道官は直ちに「懸念」を表明し、中国政府に対して台湾への軍事、外交、経済的な圧力を停止し、台湾との「意味ある対話」に取り組むよう促す声明を発表した。

米中の首脳会談で見極めへ

バイデン政権が見せた対中強硬姿勢について、台湾の政財界は歓迎している。与党・民主進歩党の幹部は「バイデン氏は大統領選挙の期間中、台湾問題についてほとんど触れなかった。彼は台湾を見捨てて中国と関係修復するのではないかと心配したが、とりあえずひと安心した」と話した。そのうえで「2月中にバイデン氏と習近平氏の電話会談があるとみられるが、どんな内容を話すのかをさらに見極めたい」と話している。